2004年05月09日
住友化学発表、サウジにエチレン130万トン、プロピレン90万トン
世界最大の石油・化学「統合コンプレックス」建設で合意
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学

 住友化学は9日午後4時から記者会見し、サウジアラビアの国営石油会社サウジ・アラムコとの間で、紅海沿岸のラービグに石油精製・石油化学「統合コンプレックス開発計画」(ラービグ計画)を推進することで基本合意したと発表した。今後共同でフィージビリティイ・スタデイーを行い、2008年後半の操業開始を目標に詳細を詰める。
 
 サウジ・アラムコがもっている製油所と新設するFCC装置、豊富なエタン原料を活かしてエチレン年産130万トン、プロピレン同90万トンのクラッカーを建設、誘導品事業を展開する。
 
 石油化学誘導品として
(1)ポリエチレン(PE)2系列:住化技術による新型ポリエチレン(EPPE)を含めて年産能力は75万〜90万トンとなる予定。
(2)ポリプロピレン(PP):2系列合計年産70万トン。
(3)プロピレンオキサイド(PO)その他のプロピレン誘導品。
(4)エチレングリコール(EG)、アルファーオレフィン等のエチレン誘導品
などを計画している。

 これらのプロジェクトの総投資額は約43億ドル(約5,000億円)の見込み。両社は事業化に当たり50対50の合弁会社を設立する。投資資金は折半で負担する。
 
 サウジ・アラムコは現在、ラービグに日産原油処理能力40万バレルと、世界最大規模の製油所(トッパー)をもち、ナフサと灯軽油を生産・販売しているが、工場設備はシンプルで周辺事業は未開拓のままとなっている。
 
 住友化学はこうした立地条件に着目し、新たにFCC装置やエタンクラッカーを建設することで、石油精製と石油化学をインテグレートした、世界最大級のコンプレックス建設をめざすことにした。
 
 記者会見した同社・宮脇一郎常務は「将来構想として、原料立地の石油化学コンビナートが必要と考えていたところ、1年ほどに前アラムコ側からノックがあった。原料エタンの入手価格は、現在国内で購入しているナフサ価格に比べると10分の1という安さになり国際競争力は十分にある。今後はサウジにとって一番利益になる事業展開を考えていくことが大切だ。当面は汎用品を中心に、アジア市場向けにマーケットを拡げていきたい。シンガポールの石化事業とは切り離して考えていくつもりだ」と語った。

 また、カントリーリスクについての質問には「いまや世界中どの国にもリスクはある。サウジだけが特殊とは思わない。基本的には政府の保険と、情報分析などによって注意しながら対応していくしかないが、操業までにはまだ時間もある」と、答えた。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/0509sumitomo.pdf

サウジアラビア地図
http://www.chem-t.com/fax/images/0509saudi-map.gif