2004年05月10日
住友化学とアラムコの合弁計画、業界に驚きと反響
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学、三菱化学、三菱ガス化学

 住友化学が9日発表した、サウジ・アラムコとの合弁事業化計画は、わが国石化業界に反響を呼んでいる。43億ドル(約5,000億円)という投資規模もさることながら、ラービグ製油所の大型トッパー(日量処理能力40万バレル)をまる飲みにして、世界最大級のエチレン、プロピレン設備を建設するというスケールの大きさに、感嘆の声があがっているのだ。
 
 世界最大の産油国に、石油精製と直結した統合コンビナートを築く意義は確かに大きいし、原料問題に悩みをかかえるわが国石化企業にとっては、まさに「究極のグローバル戦略」といえるかもしれない。
 
 しかし業界内では、いくつかの疑問点も聞かれている。例えば、これまで三菱化学(サウディ石油化学)、三菱ガス化学(サウジ・メタノール)などがパートナーを組んできた、SABIC(サウジ基礎産業公社)との関係である。一方は石油公社と組み、もう一方はSABICと組んで、同じ製品を製造・販売しあうことになるが、国内の流通や販売はうまくいくのかという懸念だ。
 
 ラービグ製油所の生産効率についても、専門家の中には「あのプラントは1985年にサウジ政府がギリシャとのJVで建設したが、当時はあまり生産効率が良くないという話だった。技術的に解決していればいいが、どうなったのか気になる」と指摘する人もいる。
 
 経産省内部は「すごい計画だ。何年ぶりだろう」と、化学業界が元気を取り戻したことの表れといわんばかり。眞鍋隆化学課長も「サウジの安い原料に、住友化学の技術力が加わって現地に石油化学の足場が築かれる。グローバル化に向けた積極的な取組みとして評価したい」とコメントしている。