2004年05月11日
米倉・住化社長「ラービグ計画」に強い意欲と自信 
「安価原料の調達、戦略的意義大きい」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学

 サウジ・アラムコ社と「ラービグ計画」で覚書調印した、住友化学の米倉弘昌社長は10日帰国したが、11日マスコミ各社との懇談会を開催し、計画の概要について説明した。この中で、「安価原料の確保は当社にとって最大の課題だった。世界最大の産油国で、石油精製と一体の石化事業が展開できる戦略上の意義は大きい」と強調、今後の展望に強い自信を示した。発言要旨は次の通り。
 
(1)ラービグには、すでに日量40万バレルという世界最大のトッパー設備があり、製品構成もシンプルで、新たに石化事業をやっていくうえでは非常に都合がいい。トッパーから約40%の得率で得られる重油を原料にFCC・プロピレン90万トンと、エタンクラッカーから130万トンのエチレンを生産し、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの誘導品工場を建設する。05年着工し、08年完成を予定している。

(2)総投資額は43億ドル(5,000万円)の見込みで、両社の出資と合弁会社の借入れで賄う。技術は住友化学が提供する。製品販売は、石油製品はサウジ・アラムコ、石化製品は住友化学が行う。投資額など資金負担は、前回発表した当社3ヵ年の中期経営計画に予算を織り込み済みなので、とくに問題はない。誘導品計画など具体的なスタデイはこれからが、ほかにも参加したい企業があれば、もちろん一緒にやっていくつもりだ。

(3)当社にとって、中長期的に競争力を確保していくうえで、安い原料をどう手当てしていくかは最大の課題だった。その意味でも「ラービグ計画」がもつ戦略的的意義は大きい。シンガポールに拠点をもつ強みを生かし、バランスのとれた理想的な展開を図っていきたい。3拠点の役割については、サウジでは主として汎用品を低コストで生産し、中国を含むアジア市場で販売していく。シンガポールはプレミアム製品を中心に生産体制を強化していく。日本は高機能分野に特化した拠点として、さらに充実を図る。それぞれの役割を明確にして展開していきたい、

(4)カントリー・リスクの問題は重要だが、当社はこれまでに外務省はもちろん、多くの学者やアナリスト、調査機関などに依頼して、安全性だけでなく、生活習慣や文化の異なる中近東でしっかりしたマネージメントができるだろうかとアドバイスを受けてきた。その結果十分やっていけると判断した。とくにサウジ・アラムコは、従業員の資質、技術力に優れており、社風なども住友化学と似たところがある。お互いよきパートナーとしてしっかりやっていきたい。