2004年03月26日
三井化学、BP-Aも中国で工業化へ
SINOPECと合弁で06年7月に12万t設備完成
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は26日、中国石油化工股分有限公司(SINPEC)との間でビスフェノールA(BP-A)の合弁事業のための合意書を25日に締結したと発表した。

 今年12月に双方の折半出資でBP-Aの製造・販売会社を設立し、上海化学工業区内で05年1月に年産12万t能力のプラント建設に着手、06年7月に完工の予定。原料フェノールは、同じ地域の上海高橋分公司から供給を受けていく。上海高橋分公司は現在同地区で年産12万t能力のフェノールプラントの建設工事を進めていて、今年6月に完成の見通し。同社ではただちに増設工事に入ることにしている。ただし、規模と完工時期は明らかにされていない。

 今回のBP-A計画は、ポリカーボネート(PC)向けを中心に中国国内で急増している需要に対応するためのもの。中国におけるBP-Aの生産能力は無錫石油化学の年産3万tにすぎず、旺盛な需要を満たすためにPCメーカーなどが国産量をはるかに上回る規模の海外品を輸入している。昨年の総輸入量は17万250tで、前年を26%上回った。今後も需要が拡大するのは確実と見られ、このためSINOPECでは海外の有力BP-Aメーカーとの合弁による自給体制の確立を検討してきた。

 三井化学は、日本国内の3地区に合計年産21万t設備を持つほか、シンガポールにも3系列合計21万tの設備を保有している。アジア最大のBP-A供給メーカーで、中国にも年間4~5万tを輸出して強力な市場基盤を構築している。

 同社は、PTAやPPコンパウンドなど同社が得意としており、しかも今後の成長性も大きく期待される化学製品の事業を中国においても本格的に展開していくべく具体的な準備を進めているが、今回のBP-Aの場合は他に大型設備を持つところがいないことや、かねてから密接な取引関係を有する有力PCメーカーが中国で大型設備を稼動させることが決まっていることなどの点から言ってとりわけ円滑にスタートできそう。