2005年09月20日
中国で石炭化学計画続出
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

(上海発=特約)
 石油価格の高騰を受け、中国では特に石炭資源を有する企業の間での石炭化学計画が続出している。

 本年8月、中国国有石炭最大手の神華集団が政府から内蒙古自治区の包頭でのCoal-to-Olefins (CTO)計画の一次認可を受け、最終認可を待っている。計画は石炭からメタノールを生産し、メタノールからオレフィンを生産するもので、能力は以下の通り。
   火力発電  100MW
   石炭ベースのメタノール 180万トン
   メタノールからのオレフィン 60万トン
   PE 30万トン
   PP 31万トン
   ブタン 94千トン ほか

 神華集団は既に昨年8月、同じく内蒙古自治区鄂爾多斯(オルドス)市で世界で初めて石炭を直接液化して作る石炭液化油のプラントの建設を始めている。アメリカのHIT技術を使用し、第1期工事として970万トンの石炭から、ガソリン50万トン、ディーゼル油215万トン、液化ガス31万トン、ベンゼンや混合キシレンなど24万トンを生産する計画。

 神華集団はまた、昨年12月にダウとの間で、石炭からオレフィンを生産する計画のFSを共同で実施する契約を結んだ。大規模なオレフィンプラント建設のための経済性、市場分析、物流、技術等を検討する。立地は陜西省楡林市の近辺で、2005年第1四半期に検討を開始し、年末に終える予定。
(参考) http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=15243

 神華集団は1995年に設立された国有企業で、世界8大炭田の一つとされている神府東勝鉱区(内蒙古自治区と陝西省にまたがる)の開発・運営を担当しており、関連事業として鉄道、発電、貯炭設備、輸送設備を運営している。
 
 なおNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は神華集団の要請により、1999年5月の日中高級事務レベル会議を経て神華集団と基本協定書を締結し、NEDOLプロセスに基づく神華炭液化プラント(5,000t/d)のFSを実施している。
(NEDO) http://www.nedo.go.jp/enekan/pdf/p1_a_sekitanekikakenkyu.pdf

 またインドのGail(Gas Authority of India Ltd )は最近、陝西華山化工との間で陝西省で石炭ーメタノールー石油化学の設備を建設する覚書を締結した。今後ポリオレフィン等の生産のFSを実施する。

 今月1日、Coal Research Institute の北京支部と寧夏回族自治区の国営寧夏石炭集団が共同で寧夏石炭集団・石炭化学リサーチセンターを設立した。288億人民元を投じて南アのサソール社の石炭間接液化技術で石炭液化を行う計画で、320万トンの石油製品を生産する。現在FSの実施中で、2008年に建設を開始し、2011年までにスタートさせる構想。

 本年4月にはFoster Wheeler がサソール社及び中国側パートナー(陝西省の神華石炭液化社と寧夏回族自治区のLuneng Energy and High Chemistry Investment Group)との間で、 陝西省と寧夏回族自治区で夫々、日量8万バレルのCoal-to-Liquids (CTL)設備建設の一次FS実施の契約を締結している。

 内蒙古自治区、陝西省、寧夏回族自治区は石炭の豊富な地域。