2007年06月05日
騰龍アロマティックスのPX計画中断、環境問題が浮上
【カテゴリー】:海外(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

(上海発=特約)

 2006年11月、台湾資本のDragon Group(騰龍グループ)は福建省廈門の海滄投資区で芳香族とPTAプラントの建設に着工した。

 PXはDragon Aromatics (Xiamen) Co.(騰龍アロマティックス)、PTAはXiang Lu Petrochemical (翔鷺石油化学) が担当する。

 既報 台湾資本のDragon Group、廈門で芳香族とPTAプラント建設着工
      http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=20231

 しかし、このたび、騰龍アロマティックスは環境・安全面の懸念からPXプラントの建設中断を強いられた。
 
 工事は少なくとも半年は中断され、廈門地区の環境評価が完了するまでは再開されない。同社が計画を棚上げしたり、立地を変更する可能性もある。

 3月に北京で開催された中国人民政治協商会議(CPPCC)で、2005年11月に発生した吉林石油化学の爆発事故の再発を起こさないよう、環境面の問題でPX計画の移転が要請されたもの。発議したのは中国科学院メンバーで廈門大学の化学の教授のZhao女史で、廈門代表のCPPPCメンバーとして懸念を表明した。

 廈門は旅行やレジャーに適した美しい島だが、PXプラントは住宅地に近接しており、住民が環境面、健康面からこれに反対して、住宅地域から100km離れるよう要求している。

 これに対して、騰龍アロマティックスでは本計画は厳重な審査手続きを経たものであり、爆発を起こして松花江を汚染した吉林石油化学のアニリン工場とは比較できないと反論し、安全と環境面で2億ドルを投じていると主張した。

 しかし、5月末に廈門市当局は住民やメディアの声を受け、廈門地区環境評価が完了するまでの建設中断を決定した。

 騰龍アロマティックスの芳香族計画は13.5億ドルを投じて、パラキシレン800千トン、オルソキシレン160千トン、ベンゼン228千トンのほか、発電所や桟橋、タンクを建設するもので、2009年初めのスタートを目指していた。

 なお、翔鷺石油化学のPTA第二期計画(150万トン)については問題となっておらず、既存プラントの増設であることから、同社ではこれに関係なく計画を続行する見込み。