2009年02月23日
三菱化学、テレフタル酸事業の構造改革へ
国内でのPTAとPXの生産を停止、本社機能は海外に
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は23日、テレフタル酸事業の構造改革に乗り出すと発表した。同社松山工場内の年産25万トン能力の高純度テレフタル酸(PTA)の設備と同社水島工場内の同10万トン能力の原料パラキシレン(PX)装置を2010年に停止する。また、東京のテレフタル酸事業本部の中のビジネスに関する本社機能をシンガポールに、そして技術に係わる本社機能をインドにそれぞれ分割・移行する。

 長期化しているテレフタル酸事業の採算割れを食い止めて、成長するアジア市場により密接に連動するかたちで成長・発展していくための体制を整えるというのが今回の改革の基本的な狙い

 松山工場内のPTAプラントの停止時期は2010年末とする考え。一方の水島工場内のPX設備は、その7ヵ月前の同年5月に停止する。PXの次期定修予定時期が同年6月のなで、その直前に終止符を打つことにしたもの。両工場ともこれに伴う人員整理はしない。6月以降に必要なPXは国内もしくは海外のPXメーカーから調達する。また、PTAの生産打ち切り後の国内ユーザーに対する供給責任については、韓国・三南石油化学など同社グループの海外の生産拠点から持ち込むなり、技術供与先の東レから融通を受けるなりして支障が生じないようにしていくという。

 松山工場のPTA設備は1987年7月の操業開始の古いプラントで、しかも規模が小さいのでコスト競争力を強化していくには限界があった。しかも、国内の需要はポリエステル繊維向けもフィルム向けも不振が続いているため採算割れが長期におよんでいて、存続の意味が薄らいでいた。したがって同設備の操業打ち切りは、同社のテレフタル酸ビジネス全体の収支バランスの改善に少なからず寄与することになる。

 一方、本社機能のうちのビジネス機能のシンガポールへの移行は今年6月に、技術部門の機能のインドへの移行は今年末となる見通し。シンガポールの新組織では、より効率的な原料PXの調達や市場の拡大を目指していく。インドの新組織では最新技術のブラッシュアップと既存の技術の改善に注力していくことになる。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1235377972.pdf