2009年04月03日
住化や三井化等の計画がRINGの新規対象に
エネルギーセキュリティの確保と競争力強化に寄与
【カテゴリー】:行政/団体(原料/樹脂/化成品、新製品/新技術)
【関連企業・団体】:なし

 石油コンビナート高度統合運営技術研究組合(RING)が21年度から2年計画で推進する「コンビナート連携石油安定供給対策事業」の補助金交付対象テーマとして、住友化学や三井化学など合計5社が取り組む計三つの案件の採択がこのほど決定した。
 
 一つは、ジャパンエナジーと出光興産が愛知県知多地区で進める「コンビナート水素回収・燃料連携事業」。もう一つは、富士石油と住友化学が千葉県千葉地区で取り組む「コンビナート間のブタジエンおよびブチレンの供給・受け入れ配管の新設事業」。そしてもう一つは、出光興産と三井化学が千葉県千葉地区で実施する「コンビナートナフサ供給連携事業」。
 いずれのテーマも、コンビナート内企業の連携による設備の効果的設置によって石油資源の高度利用を図り原油の処理量を減らすことを通してエネルギーセキュリティを確保、合わせてコンビナートの競争力の強化も実現するという狙いを持つもの。これらのテーマに取り組む企業グループに対しては、経済産業省から必要資金の2分の1の補助金が交付される。21年度の交付額は三つのテーマ合計で17億円となる見込み。
 
 RINGでは、来年度以降も同事業を継続していく考えで、ついては今回の両地区以外の石油コンビナートからも積極的な提案が寄せられることを期待している。
 
 今回採択が決まった3グループの実施内容は以下の通り。
 ▽コンビナート水素回収・燃料連携事業=ジャパンエナジー知多製油所で自家燃料とされている水素を回収・高度化して出光興産愛知精油所に供給する。また、これによって不足となる自家燃料を補うため出光興産から分解重油、ブタンをジャパンネナジーに供給する。このための設備を設置することで、水素製造装置の稼動低減や分解重油の有効活用ができ、原油処理量の削減と石油の安定供給が図れるようになる。
 ▽コンビナート間のブタンおよびブチレンの供給・受け入れ配管の新設事業=富士石油袖ヶ浦製油所で生産されるブタンおよびブチレンを住友化学千葉工場のエチレン原料として供給するための配管および関連設備を設置する。これによって、流動接触分解装置を有効に活用することが可能となるとともにエチレンプラントの高効率操業も実現でき、原油処理量の削減と石油の安定供給が図れるようになる。
 ▽コンビナートナフサ供給連携事業=出光興産千葉製油所・千葉工場および三井化学市原工場で使用する原料ナフサを共同で調達するための設備を設置する。これによって、フルレンジナフサとライトナフサの有効な活用ができ、製油所における白油の増産と石化工場におけるオレフィン収率の向上が可能となり、原油処理量の削減と石油の安定供給が図れることになる。