2007年12月01日 |
再び人気集め始めた樹脂サッシ |
05年下期の出荷、オール樹脂製品は前年同期の14%増に |
○樹脂サッシの需要が昨年(05年)下期に入って急回復してきた。日本サッシ協会とプラスチックサッシ工業会の調べによると、05年下期(7〜12月期)の樹脂サッシ(ただし、オール樹脂製のサッシ)の総出荷量は64万9,134窓で前年同期の実績を14%上回った。この10年間見られなかった高成長ぶりである。この結果、05年の年間総出荷量は前年を7%上回って107万9,857窓となり、過去4年での最高記録を達成した(下表参照)。 樹脂サッシ2005年出荷実績<単位:窓> 外窓 前年比 内窓 前年比 合計 前年比 1月 34,426 91% 21,703 114% 56,129 98% 2月 33,675 100% 18,123 95% 51,798 98% 3月 36,279 90% 21,018 108% 57,297 96% 4月 52,935 90% 20,607 82% 73,542 88% 5月 69,483 107% 21,511 92% 90,994 103% 6月 76,129 98% 24,834 91% 100,963 96% 7月 86,475 114% 28,377 103% 114,852 111% 8月 76,670 114% 48,515 187% 125,185 129% 9月 79,739 119% 28,975 106% 108,714 115% 10月 78,009 112% 32,245 107% 110,254 110% 11月 61,635 101% 35,913 109% 97,548 104% 12月 57,172 110% 35,409 128% 92,581 117% 合計 742,627 105% 337,230 111% 1,079,857 107% 最大の要因は、高断熱・高気密機性に富む樹脂サッシの存在が北海道以外の地域の住民にも広く知られ始めたことにあると見られる。もっともこれには、(1)地球温暖化問題のクローズアップに伴って全国各地の住民の間に住宅の省エネ志向が高まってきたこと(2)塩ビ樹脂メーカーとサッシメーカーが緊密に連携して全国各地でこれまで以上に丁寧で理解しやすい普及・PR活動を展開するようにしてきたこと(3)環境省や経済産業省資源エネルギー庁が省エネルギー推進策の一つとして樹脂サッシの普及をより積極的に後押ししてきたことの三つの要件の同時進行が強力な促進材料になったと言える。最近は建築関係企業の間でもこうした新たな気流を敏感にキャッチして樹脂サッシの採用に本腰を入れるところが増えつつあり、今後はわが国でも普及率が一気に加速される可能性も出てきた。 ○樹脂サッシがわが国で初めて製造・販売されたのは1975年。統計が整備されたのは翌76年で、その年の総出荷量は外窓1,000窓、内窓1,000窓の計2,000窓であった。それが翌年には2万2,000窓に拡大、それ以降も2万9,000窓、7万3,000窓、12万窓、16万2,000窓と毎年急成長を遂げて89年には100万窓の大台を一気に突破して113万6,000窓を記録。さらにその後も順調に増え続けて96年には200万窓の大台に迫る195万3,000窓に達した。 ところがその年をピークに翌年からは縮小に転じ、02年には100万窓の大台割れ寸前の100万8,000窓まで後退した。続く03年はいったん103万4,000窓へとわずかながら回復したが、04年には再び前年を2%下回って101万4,214窓となり、翌05年に入ってからも上期(1〜6月期)は前年同期比3%減の43万723窓と低迷を続けていた。それが下期(7~12月期)に入り、ほぼ毎月、前年の2けた増の成長を記録するようになり、下期トータルで前年同期を14%も上回る結果となったのである。 ○その要因はどうやら前述した点に集約されると言ってよいようだ。96年まで拡大一途できた出荷が同年を境にどうして昨年半ばまで一転して縮小を続けることになったのか—。 プラスチックサッシ工業会の前事務局長で、樹脂サッシ最大手のシャノンの経営企画室担当部長でもある斉藤彰彦氏は、この間の事情についてこう解説する。 「樹脂サッシの最大の特徴は断熱性能が極めて高く、外部の冷気や熱気の進入の多くを遮断できる点にあります。塩ビの熱伝導率がアルミのおよそ1000分の1にすぎないからです。このため私たちも、冬の生活環境が特に厳しい北海道を先ずは主たる対象に需要開拓を進めてきたのです。さいわい北海道では、窓を樹脂サッシと複層ガラスとの組み合わせタイプに換えると暖房機器の利用度を大幅に引き下げても快適に過ごせてしかも結露の発生や外部からの騒音に悩まされることもなくなる点が多くの人々に知られるようになり、急速に普及していきました。その結果、現在では北海道の新築住宅における樹脂サッシの普及率はほぼ90%に達しています。普及が進めば当然のことながら出荷全体の伸び率が鈍化し、そしてマイナス成長に変わっていきます。しかも、97年に全国で持ち家の着工件数が激減し、そしてそれ以降も毎年前年を下回る時代に入った。全国レベルの縮小にはこの点も大きく影響したと言えます」。 ○むろん樹脂サッシメーカーでは、こうした事態も予想して北海道にとどまらず東北や関東でも需要開拓に乗り出していた。だが北海道以外の地域では樹脂サッシの存在が全くと言ってよいほど知られていなかったので、樹脂サッシが暮らしの向上にいかに大きく寄与するか、住まい全体の断熱化・省エネ化・遮音化によって快適・健康的な暮らしをおくれるようになり、しかも住まいの価値を大きく引き上げられるかといったことを多くの人々に理解してもらうまでに時間がかかったということのようだ。 ○世界全体で捉えると、樹脂サッシの歴史はおよそ半世紀にもおよび、現在の普及エリアは欧州から米国さらには中国や韓国に至るまで実に広範囲に広がっている。プラスチックサッシ工業会の調べによると、2000年の主要国における樹脂サッシの普及率は、アイルランド65.6%、ドイツ55.1%、米国46.0%、フランス38.0%、中国22.5%となっている。 日本の普及率は7.7%にすぎない。北海道が90%に達しているにもかかわらずである。樹脂サッシの採用はかねてから世界ではスタンダードであり、アルミサッシが主流の日本だけが特殊な存在ということになる。もっとも、わが国にはこれまで紹介してきたオール樹脂製のサッシを上回る規模の複合サッシ(外側がアルミ、内側が樹脂で構成)が存在する。 経済産業省の統計によると、その複合サッシの05年の総出荷量は166万6,000窓で、前年の実績を約12%上回った。したがって、複合サッシを含めるとわが国の普及率はもう少し高くなる。しかも冒頭に紹介したように、オール樹脂製のサッシもここにきて普及に再び拍車がかかってきた。 ○その背景について、「樹脂サッシ普及促進委員会」副委員長の横地旦・シャノン社長は次のように話す。 「統計にもはっきり表れているように、樹脂サッシ全体の需要は昨年下期に入ってから再び順調な伸びを遂げるようになりました。これは、北海道にとどまらず東北地方から甲信越、関東、中部、近畿さらには中・四国や九州に至るまでの全国各地のいたるところで樹脂サッシが注目されるようになってきたからにほかありません。どの地域でも、新しい住宅を作るなら寒さや暑さを防ぐ機能に優れ省エネ効果も高い高断熱・高気密の樹脂サッシの窓にしようと考える人々が増えてきており、それが昨年下期に入ってからの全体の出荷増となって現われてきたのだと思います。九州では、冬場の寒さ対策よりもむしろ夏場の暑さ対策と冷房費の節約を主たる目的に樹脂サッシを採用する向きも少なくありません。このため当社が3年前に佐賀県唐津市に設置した九州工場も、稼働率が順調にアップしてきています」 「多くの地域で樹脂サッシが注目されるようになってきた要因の一つは、やはり国民の間に省エネ志向が急速に広がってきたことにあると言えます。また、環境省をはじめとした行政当局が一般市民に対して民間ベースの省エネの重要性を強く訴え続けると同時に自らも新たな予算措置を講じて樹脂サッシの採用を含めた民間の省エネ対策を積極的に支援して下さるようになったこと、さらには私たち樹脂サッシメーカーと樹脂メーカーとが一体となって全国各地で進めてきた広報活動に多くのハウスメーカーや建築設計企業などが共鳴して積極的に樹脂サッシの普及を後押しして下さるようになってきたことも大きな促進材料になっていると思います」。 ○一方、今後の展望については「これからはいよいよ樹脂サッシが本格的に普及していく時代になるはずです」と横地さんは言い切る。 「何と言っても省エネ機運の高まりは樹脂サッシにとって強力な追い風と言えます。さいわい環境省や経済産業省では樹脂サッシの普及についてもこれまで以上に積極的に支援していく姿勢をはっきり打ち出して下さっている。また新しい住宅融資制度「フラット35」による優良住宅取得支援制度のスタートも樹脂サッシ業界と利用者の双方に取って大きな支援材料となります」 「むろん私たち樹脂サッシメーカーも樹脂メーカーともどもこれまで以上に丁寧に広報・PR活動やセミナー等を各地でより活発に展開していく必要があります。また、生産・営業拠点の拡充にもさらに力を入れて各地のニーズにより機敏かつ的確に適応していくことも大切と言えます。そうした地道な努力の積み重ねによって、戸建住宅はむろんのことマンションや病院、老人ホーム、さらにはシティーホテルなどでもどんどん採用していただけるように持っていきたい」。 早くから生産拠点と営業拠点を主要各地に配して全国的な市場展開に取り組んできた努力が大きく実を結ぶのはこれからだと確信している様子だ。 【普及に追い風、国が省エネ予算を拡大】 ○最近の樹脂サッシを巡る動きでもう一つ注目されるのは、環境省や経済産業省が住宅やマンション等各種建築物の窓の断熱化・気密化に対して補助金の交付等によってこれまで以上に積極的にフォローアップしていく方針をはっきり打ち出している点だ。ペアガラスと一体となった樹脂サッシ窓の普及がこれによって大きく加速されることになるのは確実と見てよく、こうした点からも樹脂サッシの市場はいよいよ全国的な広がりを遂げる時代に入ってきたと見てよさそうだ。 〔環境省、石油特会等で樹脂サッシの普及を支援〕 ○省エネ対策に最も熱心な省庁は地球温暖化防止の旗振り役を担う環境省だ。その環境省が18年度に確保した省エネ対策費の中で特に目を引くのは、「石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計」と称される二酸化炭素排出抑制予算である。 この予算は、地方公共団体や民間団体さらには民間企業や一般市民等が取り組む様々な地球温暖化対策を石油特別会計からの補助金交付によって支援していくためのもの。同省ではこの予算を活用して、市町村や省エネ関連団体ならびに一般市民等が住宅をはじめとする各種建築物の窓の断熱化・気密化に取り組んでいくケースについても一定の条件を満たしていれば補助金を交付して円滑な実現を後押ししていくことにしている。 ○窓の断熱化・気密化に対しては、「地域協議会代エネ・省エネ対策推進事業」、「地球温暖化を防ぐ学校エコ改修事業」、「地球温暖化を防ぐ地域エコ整備事業」の三つの推進テーマのいずれかでフォローしていく計画だ。 このうちの「地域協議会代エネ・省エネ対策推進事業」は、各地に設置されている地球温暖化対策地域協議会が一般市民を対象に進める各種の代エネ・省エネ推進事業、「樹脂サッシや複層ガラス等の省エネ資材の導入」、「電圧調整装置の設置」、「民生用小型風力発電システムの導入」等の推進事業を支援するためもの。17年度の補助金の交付予定額は1億5,000万円であったが、18年度は2億8,000万円へと大幅に増額された。 樹脂サッシ業界では、この支援制度に着目して17年度に栃木県、長野県、大阪府の計3地域に自治体やハウスメーカーと共同で樹脂サッシの普及促進協議会を設置、一般市民に樹脂サッシの採用を働きかけてきた。それを受けて17年度では、合計44世帯が樹脂サッシと複層ガラスによる高断熱・高気密窓の採用に踏み切った。 直接アシストしたのは、「近畿住環境フォーラム」、「長野県健康な家をつくる会」、「栃木エコサッシ普及協議会」の三つの組織で、補助金の交付額は44世帯合計で1,830万円となった。1世帯平均42万円弱という計算になる。 ○18年度はこの予算(石油特別会計予算)が一気に17年度の2倍近くまで増やされる。一般市民から同補助制度の継続と拡充を強く求める声が相次いで寄せられてきたことによる。当然、樹脂サッシの設置に対する補助枠も大きく広がることになる。 この点について、「樹脂サッシ普及促進委員会」の市村浩信委員長(信越化学顧問)は「まことに喜ばしい限り」と前置きして次のようにコメントする。 「最近では、この助成制度の存在が一般の人々にもかなり知られるようになってきています。ですから、募集が始まれば昨年度を大幅に上回る規模の応募が寄せられるのはまず間違いないと言えます。したがって私たち委員会のメンバーとしては、推進母体である地域協議会を現在の3地域以外のところにも新たに設置するなどして、ぜひともより多くの方々が樹脂サッシの採用に踏み切って下さるように持っていきたいと考えているところです」。 ちなみに、樹脂サッシ窓の設置に対する1件当たりの補助金の交付額は、昨年度と同様に通常の窓と樹脂サッシ窓との差額の3分の1となる。 ○一方の「地球温暖化を防ぐ学校エコ改修事業」は、全国の小中学校のうち老朽化が進んで夏が特に暑く冬が特に寒いなど劣悪な環境下に置かれている校舎を対象にCO2(二酸化炭素)の排出削減効果の高い各種の省エネ改修を推進するというもの。具体的な手法としては、「窓のペアガラス化等による躯体の断熱・遮熱」、「植樹や壁面・屋上の緑化等による環境改善」、「太陽光発電等の自然エネルギーの導入」が候補に挙げられている。 環境省では、平成17年度に合計10校を選び、各地域の有識者や建設事業者による「学校エコ改修検討会」を設置して具体的な実行計画の取りまとめに着手した。18年度は対象校を5校増やして計15校にする。計画の実現のため環境省が確保した予算は17年度分が10億円で、18年度には15億円に増額される。1校当たり1億円の補助となる。 17年度の対象に選ばれたのは次の10校であった。 ▽北海道黒松内町の黒松内中学校 ▽岩手県水沢市の水沢小学校 ▽宮城県栗原市の金成中学校 ▽東京都荒川区の第7峡田小学校 ▽長野県高森町の高森南小学校 ▽愛知県西春町の西春中学校 ▽岐阜県高山市の北小学校 ▽兵庫県神戸市の多聞東中学校 ▽高知県野市町の野市小学校 ▽福岡県北九州市の曽根東小学校 樹脂サッシ普及促進委員会では、このうちの長野県高森町の高森南小学校と東京都荒川区の第7峡田小学校の学校エコ改修検討会に委員会メンバーを派遣して樹脂サッシの採用によるエコ改修を強く提案しているところ。 「先ずは、地元のPTAや有識者、さらには建設事業者の方々に樹脂サッシが校舎の省エネと学習環境の改善にいかに大きく寄与するかを説明して十分な理解を得ることが大切。繰り返し会合に出席して理解を求めていきたい」と市村委員長はこの案件についても旺盛な意欲を示す。 ○もう一つの「地球温暖化を防ぐ地域エコ整備事業」も、樹脂サッシの普及を促す有力な環境保全施策の一つと言える。 この事業は、環境と経済の好循環のまちづくりについて地域からアイデアを募集したうえでモデル地域を選定し、二酸化炭素排出量削減のための石油代替エネルギー・省エネルギーの設備を設置する費用の3分の2を石油特会から交付するというもの。交付対象となるのは、「風力発電設備の設置」、「燃料電池・水素供給設備の設置」、「建物の高断熱・遮熱化、複層ガラスの導入」、「民生部門における石油代替エネルギー・省エネルギー機器等による二酸化炭素排出削減実施事業の実施」、「木質ペレットストーブの導入」などとなっている。 〔霞ヶ関の合同庁舎にも樹脂サッシの窓が〕 ○環境省による今年度の地球温暖化防止対策の中で世間の大きな注目を集めているもう一つの案件は、霞ヶ関の本庁舎の窓に樹脂サッシと複合ガラスを組み合わせた高断熱・高気密窓を採用することにした点だ。 これは、昨年12月27日に開催された「地球温暖化対策推進本部幹事会(各府省の局長級で構成)において行政府自らが実行すべき緊急かつ重点的取組みの方策について論議された中で、環境省が庁舎の省エネ改修の一つとして窓などの開口部の断熱強化を実施したい旨を説明して賛同を得たことによるもの。 政府は政府の事務や事業の遂行で排出される温室効果ガスの平成18年度の総排出量を13年度比で7%削減することにしている。しかし、16年度の総排出量は逆に4.6%増となった。このため緊急かつ重点的に取り組むべき政策を協議するため開催されたのが同幹事会であり、そこで、早急に実行すべき課題の一つとして庁舎の省エネ改修と新エネ・省エネ機器の導入策が提案され、具体策として浮上してきたのが合同庁舎の窓に樹脂サッシ窓を採用しようという計画であった。 ○この背景について小林光・環境省地球環境局長は「政府が政府の事務や事業に伴って排出する温室効果ガスを当初の計画通り削減するには、各府省が庁舎の省エネを強化することが不可欠なので、その手段の一つとして先ずは環境省自らが窓の断熱化に踏み切ることにした」と説明する。 当面は、霞が関合同庁舎5号館のうち環境省が占めているフロアの23階か24階の窓合計26間分に樹脂サッシによる内窓を設置することになりそうだ。現在(06年4月末現在)、地球環境局が入札を準備中のところ。 ○この計画について市村委員長は「樹脂サッシの持つ優れた断熱性をきちんと評価してくださった環境省には心から敬意を表したい」と述べ、次いで「これが起爆剤となって他の府省の庁舎や宿舎、さらには一般の高層建築分野でもどんどん樹脂サッシが採用されていくことになるのではないか」と今後に対する強い期待も口にする。 〔経産省でも各種建築物への樹脂サッシの採用を支援〕 ○経済産業省も資源エネルギー庁が、省エネ推進策の一つとして樹脂サッシ窓の普及を18年度も積極的に支援していく方針だ。 同省がこのために活用していくことにしているのは、独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施主体となっている「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業」の制度。 このシステムは、民生部門の各種建築物の省エネルギー推進制度で、同庁では一般市民が取り組む「空調プラス給湯」「断熱リフォーム」「太陽光発電」等の計画に対してNEDOから一定の補助金を交付しサポートしていくことにしている。補助率は省エネ設備の導入費用の3分の1となっている。 樹脂サッシ窓の設置は、このうちの「断熱リフォーム」の実施アイテムの一つとして取り上げられる。平成17年度に補助金交付を受けて樹脂サッシ窓を設置した市民は101人で、前年度の2.5倍だった。18年度も17年度と同程度の予算を確保、NEDOに対してこれまで以上に積極的な公募活動の展開を要請しているところだ。 こうした経済産業省の支援策が広く一般市民や工務店等にしっかり理解されているかとなるといささか疑問で支援制度の存在自体がほとんど世の中に知られていないと言っても過言でない。このため、樹脂サッシ普及促進委員会では、「環境省の政策も合わせて経済産業省の支援制度についても、その内容を一人でも多くの一般市民や建築関係者にきちんと知ってもらい大いに活用していただけるよう私たちも全国各地で広報活動をこれまで以上活発に進めていきたい」(市村委員長)と、行政と連動した広報活動の展開に意欲を示す。 以上に紹介したような様々な促進材料を支えに、最近は樹脂サッシもようやく全国規模でその存在が認知されるようになってきた。あとは、樹脂サッシを採用することで快適で健康な暮らしと省エネの追求という二つの異なるニーズを同時に満たせる点を関係者が多くの人々にどこまできちんと知らしめていくかだ。それが実現すれば普及は一気に加速されることになる。その意味では、同普及促進委員会の果たす役割はますます重要となる。フォローの風を背にどういった活動を繰り広げていくかがこれまでにも増して注目される。 |