2011年03月28日
中国のエチレングリコール輸入、2011年は700万トン超えに
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(上海発=特約)

中国では繊維の需要が著しく増加しており、生産販売量は増大している。  
ポリエステル製品の価格が高騰し、メーカーは高利益を享受し、生産拡大や新増設計画に取り組んでいる。

2010年には新しく409万トン能力ののPET設備が稼働した。ポリエステル需要の伸びで、エチレングリコール(MEG)の消費も増大した。
ASIACHEM Consultingのデータでは、2010年の中国のPETの生産量は2267万トンにのぼり、このためのMEGの消費は770万トンになる。

加えて、中国自動車工業協会の統計では中国の2010年の自動車の生産・販売数量は1800万台以上となり、自動車用の不凍液としてのMEG需要も増大している。

ASIACHEMのデータでは、2010年7月から2011年3月の間に、世界の原油の価格は1バレル70ドルから100ドルに上昇したが、中国東部のMEG価格は1トン910ドルから1515ドル程度まで上昇した。

PET生産量の増大で、MEGの輸入量は2009年の582万トンから2010年は664万トンと、14%の伸びとなった。
(MEGの生産量は250万トン程度、PET用以外の需要が約140万トン、総需要が910万トン程度とみられる)

中国のMEG生産は主に大規模なエチレンコンプレックスに限定されている。
2010年末の中国のMEG能力は約400万トンで、これには通遼GEM ChemicalのCoal-to-MEGの15万トンを含んでいる。
(通遼GEM ChemicalのCoal-to-MEGは http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile/NCODE/28083 参照)

2011年にはエチレンベースのMEGの新設はなく、石炭ベースは下期に稼働予定の山東華魯恆升(Hualu-Hengsheng)の5万トンだけである。

2011年にはPETの能力増加は470万トンとみられ、年末の能力は3350万トンになる。操業度を75%とすると、生産量は2512万トン、MEGの消費は854万トンにのぼる。自動車の販売量も依然として1600万台以上とみられ、不凍液の需要も増加する。

2010年初め時点ではASIACHEM では2012年にMEGの供給不足が705万トンと予想していたが、PET需要、不凍液需要の伸びと、供給の伸びが少ないことを考慮すると、1年早く、2011年のMEGの輸入量は700万トンを超えるとみられる。