2014年02月18日
山形大と宇部興、世界初・実用レベルのN型有機半導体開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:宇部興産

宇部興産は18日、山形大学有機エレクトロニクス研究センターの時任静士教授グループと、有機溶媒に溶ける新しいN型有機半導体材料を共同開発したと発表した。空気中での安定性と、高い電子移動度(3平方センチ/Vs超)を兼ね備えた高性能なN型トランジスタを印刷法で作製することに世界で初めて成功した。

シリコンなどの無機材質を使って製造するこれまでの技術と比べて、低価格、軽量、柔らかくフレキシブルなどの特徴を持つ集積回路(IC)の製造が可能になった。

開発したN型有機半導体塗布膜は、均一性の高い緻密な薄膜を形成している。今回、塗布成膜条件とトランジスタ素子の構造最適化によって高い電子移動度を得た。

また、従来のN型有機半導体では大気中の水、酸素によって半導体層の中での電子移動が妨げられやすいことが問題となっていたが、今回、分子全体に強い電子受容性を付与することで、従来法では困難だった高い安定性を実現した。

今後は、同材料をICに応用するためのトランジスタ素子の構造最適化など、より使いやすい有機半導体とするための研究を行う。また同技術を応用して有機トランジスタを用いたRFIDタグ(無線ICタグ)、フレキシブル生体センサー、フレキシブルディスプレイなどの開発を進める。宇部興産では開発した塗布可能なN型有機半導体のサンプル供試を開始する。

今回の研究成果は3月14日米沢市(山形県)で開催される「高分子学会 有機エレクトロニクス研究会 第3回異業種交流会」および3月17-20日に青山学院大学相模原キャンパスで開催される「第61回応用物理学会 春季学術講演会」で発表する。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1392693019.pdf