2002年12月24日
HDPEの大型中空成形用、PPの工業部品用とOPP用が大幅増
ポリオレフィンの出荷の前年同月比増減に品種別格差
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン3樹脂の最近の出荷の動きにこれまでと異なる現象が生じてきている。品種によって対前年同月比にかつてない大きな格差が発生、しかもそれが数ヶ月にわたって持続する傾向をたどっている点が注目される。
 
 ポリオレフィン3樹脂の11月の出荷のなかで、特に対前年同月比伸長率の大きさが目立つのは、HDPEの大型中空成形用の24.1%増、PPの工業部品用の16.2%増、同じくPPの雑貨用の12.4%増、OPP用の17.4%増--といったところ。
 このうちのHDPE大型中空成形用の大幅な伸びは、今年に入ってから一貫して続いている現象。最大の要因は、自動車メーカーの間で同樹脂製ガソリンタンクの採用に踏み切るところが相次ぎはじめたことにあると見られる。
 一方、PPの工業部品の前年同月超えは4月からの8ヵ月連続となっており、しかもこの3ヵ月はいずれも2けたのアップ率となっている。PPメーカーによると、その多くは自動車部品の需要の増加によるものという。
 同じPPのOPP用と雑貨は、ともに2ヵ月連続の2けた増である。OPPの伸びは食品包装用品種の需要も拡大によるものと見て良さそう。しかし雑貨の好調の背景については、どのPPメーカーもまだ明確に捉えられないという。
 
 反面、不振の長期化が目立つのは、LDPEとHDPEのパイプ用、LDPEの電線被覆用、HDPEの薄肉・強化フィルム用、HDPEならびにPPのフラットヤーン用--など。
 公共工事に関わりの深い品種と輸入圧力の強い品種が低迷を余儀なくされている様子が浮き彫りになっている。LDPEのパイプ用と電線被覆用、HDPEの薄肉・強化フィルム用とフラットヤーン用は、いずれも今年に入って全ての月が前年同月を下回っている。11月の前年同月比は、電線被覆用こそ1.6%減とめずらしく小幅にとどまったが、LDPEのパイプ用は8.0%減、HDPEの薄肉・強化フィルム用は5.0%減、HDPEのフラットヤーン用は5.9%減となっている。HDPEのパイプ用は5.5%減、PPのフラットヤーン用は7.7%の減少である。