2002年12月25日
クラレ、ナイロン9T設備を3倍増、電子部品、自動車用などに伸びる
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:クラレ、東レ、三井化学

 耐熱性にすぐれるポリアミド(PA)の需要が、電子、自動車などの分野に伸びているが、クラレはハンダの耐熱温度が290℃と高いポリアミド(ナイロン9T、商品名・ジェネスタ)の生産設備を大幅に増強することになった。
 
 同社は愛媛県の西条工場に現在年産1,000トン設備を所有しているが、これを来年中に3,000トンに拡充する方針。増設後の売り上げはコンパウンド(年7,000〜9,000トン)で約50億円を見込んでいる。
 
 クラレのジェネスタはノナンジアミンとテレフタル酸から製造する半芳香族ポリアミド。高耐熱性のほか低吸水性で寸法安定性、耐摩耗性、耐薬品性にもすぐれる。用途は電子部品を中心に、最近は自動車部品などにも伸びている。
 
 自動車部品としては金属製からエンジニアリングプラスチックへの転換が進み、エンジン、吸気系部品、冷却系部品などに採用されている。軽量でガソリンやエンジンオイルにも強く、射出成形による量産化がはかれるなど特徴もある。電子部品としてはパソコンや携帯電話など表面カバー、コネクターなどに採用されている。
 
 ジェネスタのような特殊ナイロンは東レ(ナイロン610)、三井化学(アーレン)、三菱エンジニアリングプラスチック(MXD)が生産しているが輸入品を含めておよそ2万トンの市場で、ポリアミド全体の約10%を占めている。