2003年01月15日
米倉・住化社長、次期シンガポール計画に自信
「コスト競争力に優れ、高機能品の比率の高いプロジェクトに」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学、経済産業省

 住友化学の米倉弘昌社長は15日記者会見し、同社とシェルグル-プが共同投資して実現を目指す「次期シンガポール石油化学計画」について語った。この中で同社長は、「既存のインフラストラクチャーを有効利用できること、安価な原料が安定的に確保できること、さらにエチレンプラントの規模が世界最大級のスケールであること、などから判断して、十分な国際競争力を備えたプロジェクトになると確信している」と同計画に対する強い自信を示した。また、誘導品については「特色のある高機能品を中心に構成する」と説明、この点も同プロジェクトの持つ特徴と強みであると強調した。
 
【同社長の会見要旨】
○一連のフィージビリティースタディは04年半ばの終了を目指す。その結果を踏まえて07年の稼動開始を目途に年産100万t能力のエチレンプラントを建設する。エチレンプラントの建設所要資金はまだはっきりしないが、インフラがすでに整備されているブコム島に立地するので1,000億円をいくらか下回る額に抑えられるのではと期待している。
 
○原料は、かねてからブコム島に大型リファイナリーを保有しているシェルからコンデンセート、ナフサ、ガスオイル、さらには重質油など多様な原料を合理的な価格で安定的に受給できる見通しにある。新会社は両社折半で設立、運営していく方針だ。

○誘導品計画は現在検討中で、今年半ばには具体的なプランを固めたい。当社の触媒・プロセス技術を生かした特色ある高機能品を中心に構成したいと考えている。高機能品の構成比率は現在のシンガポールプロジェクトの30%から60%程度に引き上げていくようにしたい。強度が高く、加工性にも優れた新規ポリエチレンや、自動車向けの高強度ブロックコポリマーを主体とした事業の展開などで、厳しい国際競争を勝ち抜いていく考えだ。

○ポリオレフィンなど誘導品市場としては、引き続き成長が見込まれる中国に期待している。経済産業省によると、中国石油化学製品の需給バランスは今後なお大幅な品不足が続く見通しで、06年でもまだエチレン換算で700~800万tが不足すると予想されている。次期シンガポールプロジェクトは、様々な要素の組み合わせで、十分な国際競争力を発揮するものとなる見込みなので、中国市場をはじめとしたアジア市場全体に一層強い基盤がつくれると判断している。