2003年01月21日
三井化学、ダウと高機能樹脂を共同開発、触媒技術生かす
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は米・ダウ・ケミカルと共同で3年後の2006年をめざし、高機能の新しいプラスチックを開発することになった。昨年末に両社から各5名の研究者をだし、ダウ・ケミカルはフリーポート、三井化学は袖ヶ浦(千葉)の研究所で開発を進める計画を決め、このほどスタートさせた。
 
 三井化学はポリエチレンの製造で溶液反応のチーグラー触媒(1988年)から気相反応のメタロセン触媒(1997年)に切り換え、装置面積を60%、スチーム原単位を40%それぞれ引き下げてコストダウンをはかる一方、透明性を大幅に引き上げ、軽量化をはかるなど品質を向上させた。
 
 これ以降も触媒科学の研究を進め、目下、ポストメタロセン触媒(F1触媒)の開発に取り組んでいる。そのあとは有機—非金属錯体触媒(PZN触媒)を手がける方針。また、千葉県での触媒科学研究所の設置をはじめ、ことし3月17日には木更津市で触媒科学国際シンポジウムの開催を予定している。
 
 ダウ・ケミカルとの新プラスチック開発は、こうした新触媒の研究に関連して進められてきたもので、「ブロック共重合体」の研究が対象。ダウ・ケミカルの研究も生かし、異なるプラスチックのブロック(塊)を化学的に結びつけて、耐熱性や強度などのポリマー特性を改良する。この結果、柔らかくて強いゴムを、硬くて強いゴムに変えたり、廃棄物のポリエチレンとポリプロピレンを結合させて、新ポリマーをつくるなどの技術開発が期待できるとしている。とりわけプラスチックを軽量化することで自動車分野の市場を開拓する。
 
 F1触媒での新プラスチックとしては超強度フィルム、超強度ロープ、塗装可能ポリプロ、接着剤、タイヤ素材、パッキング、ポリオレフィン改質剤なども用途の対象になる。