2002年01月04日
宇部興産の常見社長、全社員に「危機感の共有」と「極限までの業務改革」呼びかけ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:宇部興産

 宇部興産の常見和正社長は、新たに迎えた2002年の経営環境は非常に厳しいものになるとし、全グループ社員に「危機感の共有」と「極限までの業務改革」を強く呼びかける年頭挨拶を行った。要旨次の通り。

 デフレがデフレを呼ぶ、いわゆるデフレ・スパイラル現象を呈しているが、これは一過性の事象ではなく、趨勢的な問題、つまりは日本の国際競争力が相対的に低下してきたことの現れである。今年は事業構造の改革、経営効率を極限まで高める業務改革、社員の行動改革などが実行できるか否かで、企業の命運が分かれる一年となるだろう。
 
 当社は、「New21・UBE計画」(New計画)がスタートした初年度から、業績計画を下方修正するという誠に不本意な事態になろうとしている。New計画で持続的成長を目指したが、基盤の脆弱性を露呈した。競争力、財務力しかりだ。これからの進むべき道が狭くなった中で、来年度、再年度の戦略や計画をどう見直すかの作業を、目下進めている。
 
 見直しのポイントには、変えない点と、変えるべき点とがある。変えない点は「集中と飛躍」をキーワードとした経営方針であり、株主価値重視のセグメント連結経営を最適化するための経営改革や、財務体質改善への取り組み、さらにNew計画における4事業区分の事業戦略などがある。とりわけ有利子負債の削減は焦眉の急だ。
 
 一方、変えるべき点には、まず事業構造改革の早期実現がある。とくにラクタム事業とセメント事業は、堅実な収益を上げる構造に早急に転換する必要がある。また新規施策として、組織の簡素化・スリム化の断行や抜本的な合理化、コストダウンがある。New計画の投資案件は見直し、圧縮する。運転資金の極限までの削減なども考えている。
 
 今年実行してほしいことの第一は「創造的破壊」。本社・事業部・工場のすべての部門で企業活動の門構えを小さくする。新しいデフレ時代を生き抜くための発想転換だ。第二は、どんな困難な事態にもあきらめず、粘り強く克服していっててほしい。第三は、劣化した国際競争を取り戻すために、独創的な研究開発、技術開発を推進し、その強みを発揮していく。第四には国際的コミュニケーション・スキルの拡大、活発化だ
 
 今は戦後最大の大不況下にあり、とくに今年は最低に落ち込む年になることが予想される。この危機感を皆さんと共有し、難局を突破するために全力をあげなければならない。そして業績のV字型回復を達成せねばならない。