2003年01月31日 |
「化審法」の改正案で関係3省の専門委の意見が一致 |
生物への影響の考慮とリスク評価等で新たな枠組みを |
【カテゴリー】:環境/安全 【関連企業・団体】:環境省、経済産業省、厚生労働省 |
中央環境審議会、産業構造審議会、厚生科学審議会--の三つの諮問機関は30日、化学物質の審査と規制にかかわりを持つそれぞれの下部組織の合同会合を開き、今後の化学物質 の審査及び規制の在り方について意見を交わした。その結果、(1)人だけでなく環境中の生物への影響にも着目した対応を盛り込むこと(2)有害性とともに暴露も合わせて考慮したリスク評価・管理によって一段と効果的かつ効率的な制度とすること--の2点を主眼に現在の「化学物質審査規制法(化審法)」を改正するのが妥当との結論をまとめた。 これを受けて、環境、経済産業、厚生労働の3省では2月中に同法の改正案を今の国会に上程する。 この日に合同会合を開いたのは環境省の「中央環境審議会環境保健部会部会化学物質審査規制制度小委員会」、経済産業省の「産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会」、厚生労働省の「厚生省科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会」--の三つの専門家委員会。 事務局である3省の担当部局がまとめた原案をベーズに「今後の化学物質の審査及び規制の在り方」について意見を交わして結論をまとめた。 改正の重要ポイントの1つである「環境中の生物への影響にも着目した対応」に関しては、新規化学物質等につき生態毒性試験結果を用いて環境中の生物への影響について一定の評価を下すことが適当との見解をまとめているしている。ついては、藻類、ミジンコ類、魚類の急性毒性試験の結果を用いて評価するのが適当としている。 一方の「リスク評価・管理による対応」に関しては、国が予備的な毒性評価を行いそれらの結果に基づきリスクが懸念される場合には事業者に対して環境放出量を抑制するための指導・助言を実施すべきと提言している。また、そうした措置によっても暴露可能性を低くできないと判断された場合には、製造・輸入事業者に対して長期毒性に関する調査を指示し、長期毒性がある場合には速やかに第一種特定化学物質に指定すべきであるとも指摘している。 なお、製造・輸入数量の少ない化学物質については、「難分解性であっても高蓄積性でないと判定されたものは製造・輸入数量が年間10t以下であることがはっきりしていれば人の健康に係わるスクリーニング毒性試験及び生態毒性試験のデータの提出なく製造・輸入できることとする」との見解も付け加えた。 |