2001年12月27日
化学業界、新年の課題、大胆な集約化と独自のコア事業構築を
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:チッソ、日本ポリケム

 化学業界は“大不況”のなかで新しい年2002年を迎えるが、大きな課題として、エチレンなどの過剰設備問題にどう取り組むかがある。ほとんどの企業がこの問題を抱えて、厳しい選択、決断を迫られることになろう。
 
 ポリプロピレ業界の2つの事業統合計画は、この12月に公取委の事前承認を得て、三井住友両社は2002年4月、日本ポリケムとチッソは7月にそれぞれ新会社設立の予定で準備中だが、それ以外の業種となると、どこまでアライアンスが進むか、見当もつかない。ましてエチレンともなると、三井住友に続くところが出るのかさえあやしい。

 グローバリゼーションが進む中、内需の伸びが期待できず、輸出市場も先細りで、このままだと大きな過剰設備をかかえてしまうという深刻な問題をかかえている業種は多いし、ポリエチレン、塩ビ、ポリスチレン業界などには再度の再編が必要という声が早くから出ている。
 
 仮にエチレンセンターのアライアンスが進まず、誘導品業界の再編が先行したら、どうなるだろうか。ポリエチレンやポリプロピレンのない「笑い話」のようなセンターが出現するとは考えにくいが、今の状態からすると、その可能性がないとはいえないのだ。
 
 ポリプロやポリエチはそのうちに4グループぐらいに集約される。エチレンセンターよりも数が少ない。
 そして誘導品各社は、横系列のアライアンスの次はタテ系列のアライアンス、つまり原料のエチレンが有利に入手できるセンターと手を結びたいと考える。
 
 経産省もエチレン・センターの集約化を誘導してはいるが、もちろん限界がある。また業界もそれに頼るような時代ではない。
 資源(石油)のないわが国の化学業界は、これまで設備大型化や技術開発などで競争力を保ってきた。しかし中東、アジア、各国のの追い上げは急だ。
 
 こうなると長年続いた石油化学の“手直し的発想”から脱して、国際競争に耐える企業、あるいは集団を新しい経営理念のもとで構築し、挑戦していくことが新年からの課題といえるだろう。そのコアになるのは独創的で他社の追随を許さぬ製品、ビジネスモデルにあることはたしかだ。

 ある業界トップは「今こそ新しいコア事業を構築するときだが、同時に(1)スピードある経営決断(2)独自の新技術開発(3)バイオテクノロジーなど重点分野の開発を国際レベルで実行していくこと」を、わが国化学業界の活性化策として強調している。(編集局=Y)