2003年02月17日
ANのアジアの需給バランス、今年もタイトが必至
米国からの大量流入がなければ品不足つづく
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成や大手商社筋によると、AN(アクリロニトリル)のアジア地域における需給バランスは今年も引き続きタイトのまま推移するのが必至の見通しにある。
 供給力に余裕のある北米から大量の流入がないと、中国をはじめとしたアジア市場では品不足が一段と深刻化する公算が強いとの見方が多い。
 
 世界全体のANの02年の需要量(消費量)は、前年を4%前後上回って約500万tになったというのが多くの関係者の見方。対する総生産量は470万t前後にとどまり、北米以外の地域では多くのANメーカーが在庫を取り崩して需要増に対応した模様。ネームプレートベースの供給能力は585万tであったが、米・スターリングの年産36万tプラントの操業停止や世界各地での定修ならびに小トラブルの相次ぐ発生で実際の生産量は大幅に能力を下回ったようだ。このため、特に需要が好調であった中国を中心とするアジア地域では慢性的な品不足状態が続いたとされる。需要量は前年を7〜8%上回っておよそ245万tとなったが、新増設がなかったので総供給力がおよそ50万tショートし、北米からの輸入でかろうじてバランスをキープできたと見られている。
 
 そのアジア地域の需要については、今年も引き続き拡大するとの見方が一般的だ。旭化成などでは、前年を少なくとも4%前後上回って255万tに達すると予想している。対する設備能力は、韓国の東西石油化学と中国の上海石油化学の両社の増設があるだけなので実増分はせいぜい年間13万tで、合計では222万tにとどまると想定されている。しかも、春と秋には多くのAN企業が定修を実施する予定にある。このため今年も年間50万tていどは北米から輸入する必要があるということになる。
 その場合にカギを握るのは、3月から生産を再開すると伝えられている米・スターリングケミカルスの動向である。安定操業が実現するかどうかで、アジアの需給バランスは大きく左右される。