2003年02月20日
三井化学、フェノールも再値上げ
国内向けは3月1日からキロ17円アップ
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学、三菱化学

 三井化学は、BPA(ビスフェノールA)に続いてPH(フェノール)についても国内外の価格を再修正することにした。原燃料の高騰分を製品価格に転嫁するというもの。
 
 国内販売価格は3月1日出荷分から1キログラム17円引き上げる。昨年末に実施した同15円の値上げに続くもの。前回の値上げでは当初目標に掲げた同18円をクリアできなかったが、今回は、主原料ベンゼンの第1・四半期の国内価格が前期よりさらにキロ14円引き上げられるなど、原燃料価格がかつて見られない大幅な上昇を遂げていて自らの合理化努力で吸収できる範囲をはるかに超えているので、全面的な受け入れをユーザー各社にお願いせざるを得ないとしている。
 
 一方の輸出価格はトン当たり100ドルのアップを目指す。すでに中国向けを中心にシップメント・ベースで新価格への切り替えを実施しつつある。上海などのメーンポート揚げのCIFあるいはCFR価格を同850ドルに改める。
 
 PHの現在の需給バランスはアジア全域で引き続き逼迫しており、しかも今後は品不足が一層深刻化すると予想されている。これは、BPA向けを中心に需要が大幅な伸びを続けていく見通しにあるのに対して、供給力の拡大が極めて小さな規模にとどまることがはっきりしているため。三井化学の予想では、今年のPHのアジア地域(日本を除くアジア地域)の需要量は昨年を23万t(19%)上回る140万tとなり、一方の供給力の拡大規模は、三井化学シンガポールが昨年末に実施した年産5万tのデボトル分と今年5〜6月に完工が予定されている三菱化学・鹿島の7万tの増強にすぎないという。このため、今年は、米・イネオスフェノールの大型プラントの運休もあってタイトバランスが続いた昨年以上の品不足となる公算が極めて濃厚というのが同社の判断である。
 
 しかも、4月から7月までの間は、日本国内のPHメーカーの定修が相次ぐ見通しにもある。千葉フェノールを皮切りに、三菱化学、新日本フェノール、三井化学の各社がそれぞれ定修(一部増強を含む)のため1ヵ月から1ヵ月半運休する。合計5系列のうちの4系列がこの間に順次運休するだけに、アジア市場の需給バランスに及ぼす影響は大きいと予想される。 このため、最近稼動を再開したと伝えられるイネオスがよほどまとまった量をアジア地域に振り向けてくることがないかぎり、同地域のユーザーは深刻化する品不足に悩まされることになりそう。フェノール業界や商社筋の間では、最近のベンゼンの価格の暴騰ぶりを考えると、フレートのかかるイネオスから大量の玉を手当てできる需要家が出てくる可能性は低いとの見方が支配的だ。