2003年02月24日
三井化学、BPAの今年のアジアの需要を昨年の27%増と予想
供給力の増強が追いつかず、一段と品不足に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほどBPA(ビスフェノールA)の世界全体の需要見通しをまとめた。この中では、今年も昨年同様に特にアジア地域(日本を除くアジア地域)の需要がPC(ポリカーボネート樹脂)向けを中心に大きく伸びるとの予想になっている点が注目される。一方の供給力は、アジア地域でも世界全体でも新増設が少ないので昨年を大きく上回ることにはならない見通しにある。このため、アジア地域では品不足が一段と深刻になると見られる。
 
 同社では、世界全体の今年の需要を昨年の6%増の286万6,000tと予想、うち日本を含むアジア地域については同16%増の116万4,000tと想定、また、日本を除くアジア地域の場合は同27%増の77万9,000tと推定している。
 日本を除くアジア地域の場合は、PC用が同32%増の54万1,000t、エポキシ樹脂用その他が同16%増の23万8,000tになると予想している。PC用が特に大きく伸びると見ているのは、昨年下期以降今年春にかけて韓国、台湾、タイ、シンガポールの各地でPCの新増設プラントが相次いで稼働する見通しにあるためという。ただし、日本の国内需要は前年の横並びに終わると見ている。
 
 一方の供給能力については、世界全体が345万t、日本を含むアジア地域が130万t、日本を除くアジア地域が71万tになると予想している。世界全体では、今年もまだ供給力に余裕があるということになる。しかし、日本を除くアジア地域の場合は、供給力が昨年以上に不足する見通しだ。これは、需要が16万5,000t増えるのに対して供給力の拡大が13万tにとどまると見られることによるもの。昨年は3万4,000tの供給力不足であったが、今年は6万9,000tに広がる計算になる。その不足分は欧米からの流入で補われることになる。しかし、昨年のイネオス・フェノールのような大型トラブルが発生すればアジア市場はたちまちパニックに陥ることになる。