2003年03月11日
大日本インキが有機EL材料に進出
高分子系リン光で三重項発光
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:セイコーエプソン、大日本インキ化学工業

 大日本インキ化学工業は、単層構造の高分子系発光材料を開発、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)分野に進出することになった。同社の発光材料はリン光発光技術によるもので、従来の低分子系のけい光発光材料が真空成膜装置などに1億円もかかるのに対し、製造コストが約30%削減できるというもので、世界最高の明るさも実現した。2004年中に量産設備を建設、2005年度から発売する。2010年度には同材料分野で世界のシェアの10%を目指す方針。
 
 同社の発光材料はイリジュウム錯体を使うもので、けい光発光材料が、25%の発光効率にとどまっているのに対し、理論的には100%まで発光効率を引き上げる。三重項発光とも呼ばれている。これまでに印刷インキで蓄積した導電性高分子を同材料に組み合わせ、技術を確立した。
 
 高分子系の有機ELの発光材料ではこれまで、輝度が1平方メートル当たり4,000〜5,000カンデラだったが、同社は7,000カンデラを確保したとしている。
 
 目下、緑色発光材料の技術開発にとどまっているが、今後、青色、赤色の発光材料も開発し、フルカラー発光の赤、青、緑の三原色をそろえる方針である。
 
 高分子系有機ELは英国ケンブリッジ大の技術をもとに欧米でも開発が進み、日本ではセイコーエプソン先行している。また、三重項発光は米国プリンストン大学が技術を開発している。