2003年03月17日
三井化学の「触媒科学国際シンポ」が開幕
内外の権威12人がポリマーの触媒で講演
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:三井化学、日本化学会

 三井化学による「第1回触媒科学国際シンポジウム」が17日、千葉県木更津市のかずさアカデミアホールで開幕した。会期は17、18日の2日間。
 
 同シンポジウムは、同社が昨年4月に袖ヶ浦に開設した「触媒科学研究所」の設立を記念して開催したもの。千葉県と袖ヶ浦、市原、木更津、茂原の各市が後援。民間企業による触媒研究の国際シンポジウムは世界でもこれが初めて。
日本化学会、高分子学会、触媒学会、有機合成化学協会の各学術団体が協賛している。

 今回のシンポジウムに招かれた講師は、ノーベル化学賞の受賞者である野依良治・名古屋大学教授とJ M レーン・ルイ パスツール大学教授の両氏のほか、カミレスキー・ハンブルグ大学教授、S.ブルックハート・ノースキャロライナ大学教授、岡本佳男・名古屋大学教授ら、いずれも触媒開発に関する優れた業績が国際的に高く評価されている化学研究者10人。
 
 今回のプログラムはポリマーの触媒を中心とした講演で編成され、はじめに野依教授が「分子触媒の現状と展望」の演題で基調講演を行い、続いて各講師が順次それぞれのテーマに沿っての講演を開始した。

 最初に講演した野依教授は「省資源、省エネルギーさらに環境調和型の洗練された化学変換プロセスの確率が愁眉の急」と前置きし、「100%の収率、100%の選択性を目指す“完全化学反応”の実現にすべての研究者が挑戦してほしい」と熱のこもったエールを送った。
 
 現在、研究が進められている技術についても「毒性のないCO2を溶媒と反応物質の両方に使用できるCO2を超臨界流体として利用したギ酸誘導体の製法や、有害物質や無駄な廃棄物を生成しない過酸化水素を酸素源としたアジピン酸の合成法—などは人類の未来を担う製造法と言える」とコメントした。