2003年03月19日 |
ANの需給バランス、今年もアジアが特に逼迫 |
需要は世界全体で508万トン、生産は490万トン |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:旭化成 |
アクリロニトリル(AN)のトップメーカーである旭化成によると、ANの世界全体の需給は今年もタイトバランスとなるのが必至で、特にアジア地域では品不足状態が一段と深刻となる見通しである。 同社では、ANの世界全体の需給量を昨年比2.7%増の507万5,000トン、生産能力を(供給能力)を同4.3%増の490万トンと予想している。生産量は20万トン増えるが、需要を17万5,000トン下回る。 生産の20万トン増という予想は、以前の関係各方面の見方をかなり下回る規模だ。これは、今年4月からと予想されていた米・スターリング・ケミカルズの36万トンプラントの稼動再開が原料不足のため今年半ばにずれ込む公算となってきたこと、西欧の大手AN企業が年央に同分野から撤退する見通しとなったこと、欧米で大型定修が相次ぐことが確定したこと等によるもの。 一方、需要の伸びは中国の需要の拡大を見込んでのもの。中国の需要は前年を9%上回って83万トンになるというのが同社の見方。このため、日本を除くアジア地域の総需要量は6%増の198万トンと予想している。日本を含めたアジア全体の需要は3.7%増の260万トンという見方である。 アジア全体の生産可能量は225万トンにとどまる見通しだ。35万トンものANを他の地域からの持ち込みに頼っていかなければならない。したがって、今年もアジア地域のスポット相場は昨年以上の高水準で推移していくことになりそう。原料プロピレンの需給タイトと市況の高騰がそれに輪をかけることになる。 |