2003年03月20日
三井化学、アセトン等の溶剤の値上げを表明
当面のナフサの高騰期間に限定して実施
【カテゴリー】:市況
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は、アセトンなどの溶剤の国内価格を4月1日出荷分からナフサの高騰分見合いで引き上げることにした。
 
 対象はアセトン、MIBK、IPAの3品目。上げ幅は、アセトンがキログラム当たり14円、MIBKが同18円、IPAが同11円。いずれも当面のナフサ価格の上昇分、1キロリットル当たり2万4,000円から3万1,000円のアップ分7,000円に製品別の原単位を乗じて算出した上げ幅としている。
 
 アセトンの場合、原料プロピレンのコストアップ分がナフサ1キロリットル当たり2円であり、原単位は1.0なので製品1キログラム当たりの値上げ幅は7円に2円を乗じた14円となる。MIBK原単位が1.3であり、IPA原単位は0.8なのでアセトンと異なる上げ幅となる。
 
 同社では、ナフサの高騰によるコストアップ分は、同社の合理化努力で吸収できる範囲を大きく超えるものとなっており、採算割れを防ぐにはナフサ価格の上昇分をそのまま製品価格に転嫁していくほかなくなったと説明している。
 
 注目されるのは、新価格の適用期間を国内のナフサ価格が3万1,000円に貼りついている間に限定している点だ。ナフサ価格が2万4,000円に戻った場合は、その月の1日から溶剤の価格も元に戻すと明言している。
 
 わが国の石油化学企業や商社などが国際トレーダや産油国と契約したナフサがわが国に到着するのは、ほぼ2ヵ月後となる。4月から5月にかけての円単位の国内のナフサ価格が3万1,000円を下回ることはほとんどないと見られる。変化が生じるとすれば6月分からとなろう。
 
 今回、同社が打ち出した溶剤価格政策は“完全ナフサスライド制(ナフサ・プレミアム制)”を採用するもので、これまでと違って“短期決戦”の性格を持つ。このため、同社では4月10日までに全ての需要家の同意を得たい考え。実現できない場合は、事業損失を少しでも軽減するため減産または採算性が優位な輸出に踏み切ることになるとしている。