2003年04月15日
東芝松下ディスプレイがインクジェット方式を実用化
輝度ムラなく低分子系有機ELにも採用
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東芝

 東芝松下ディスプレイテクノロジーは高分子系有機EL(エレクトロルミネッセンス)のディスプレイ(OLED)の開発に取り組んでいるが、インクジェット方式の実用化について見通しをえたことを明らかにした。同方式は低分子系の真空蒸着法に比べ発光素子の発光効率・寿命の向上、輝度のバラツキ低減など生産上の利点が大きいとしている。
 
 同社は17型WXGA高分子系の有機ELディスプレイを開発したが、各画素のOLEDダイオードの駆動に電圧信号制御方式を採用し、輝度ムラの原因となるTET(薄膜トランジスタ)のVthバラツキを補償する回路を設けた。WXGAフォーマットにおける短水平期間でも補償回路を効果的に作動させる技術として複数ライン選択回路を実現した。
 
 さらにOLED各色素子のガンマ(γ)特性の違いを補償する回路、消費電力低減に向けたピーク輝度制御回路を開発した。このOLEDは視角方向によるコントラスト低下や色つぶれなども発生せず、良好な表示特性がえられたとしている。
 
 17型WXGA高分子有機ELの仕様は低温シリコン・アクティブマトリックスを採用、画素数1280(xRGB)×768、画素ピッチ0.2895mm(88PPi)、表示サイズ対角432.159mm(17.01inch)、階調64(RGB 6bits)、表示色数262,000、白色輝度300nitである。サイズは世界最大クラス。
 
 同社ではこのディスプレイが薄型軽量、大型基板への適用などの特徴を生かし液晶ディスプレイやPDP(プラズマディスプレイパネル)をしのぐディスプレイになることを予測している。また、フレキシブルパネルへの応用についても期待できるという。そして今後は低分子系材料をインク化する技術を実用化できる可能性も示唆している。