2003年04月15日
デュポンが6月までに有機ELディスプレイを生産
台湾の新竹で関連会社RiTが月1万枚
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:デュポン

 米国デュポン社はさきに「オライト」のブランドで有機ELディスプレイ分野への本格進出を明らかにしたが、具体的には2004年末までにアクティブマトリクスのフルカラーで大型のディスプレイを製品化、これより先、ことし6月までに白黒のパッシブ型128×64ドット、370×470mmサイズのディスプレイを世界で販売する方針である。
 
 同社は3年前にユニアックス社を買収、英ケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー(CDT)の高分子系発光素子のライセンスを導入して、テクノロジーとプロセスラインの完成を急いできた。計画では台湾の新竹地区にあるRiT社(デュポンが7.5%出資)にフル製造ラインを設置。販売は自動車や携帯電話の表示用ディスプレイのほか、産業用、医療用などを対象とし、米国、欧州、アジア向けなどを6月までに展開する。月産5,000枚から最大1万枚をめざす。
 
 このあとTFT(薄膜トランジスタ)アクティブマトリクスによる大型ディスプレイの生産を計画しているが、サイズは未定。技術はイリジウム錯体を用いるユニバーサルディスプレイの製法を採用、けい光体を含めて研究を進めている。
 
 同社では有機ELディスプレイの当面の課題を発光素子の寿命にあるとしている。発光素子の材料としては青色が1,000時間から8,000時間にのびたほか、緑も7,000〜8,000時間が2万時間までのびるなど改善され、ユニバーサルディスプレイからは2万ー3万時間の達成が報告され、期待が持てる状況にあるとみている。
 
 また、有機ELはLCD(液晶)との競合があるが、有機ELでは自発光でバックライトがいらず、軽く、工程が簡単、視野面が広いなどの特徴があり、大型化した場合、消費電力でも大きな差がでるとしている。