2003年04月23日
三菱化学、鹿島事業所の強化に着手へ
先ずはエチレン第1号機の改善から
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:鹿島石油、三菱化学

 三菱化学は、石油化学事業部門の国際競争力強化策の一環として鹿島事業所の生産体制の大幅な改革に着手することになった。
 向こう2年間に、第1、第2の二つのエチレンプラントをより高効率・高収率型の設備に改めるとともに、未利用留分の有効利用を一層拡大していくため、新たな仕組みも整備
するなどで、厳しい国際生存競争を勝ち抜いていくに十分なコスト競争力を持つ石油化学センターに仕上げていきたいとしている。同社の石油化学事業の行方を大きく左右する重要な意味を持つプロジェクトあって、実際にどのような手を打っていくかが注目される。

 同社では、先ずは、年産37万t能力(定修スキップ年は41万t)の第1エチレンプラントの改造から着手することにしている。有力エンジニアリング企業とのコ・ワークによってナフサ分解炉からタービンにいたるまでの全ての設備機器とシステムを総点検し、より合理的なコストでオレフィンその他が生産できるように関連施設も含めて改善に取り組んでいく。
 
 早急に総点検を実施して詳細設計に着手、そして来年5月の定修時に必要な工事を完了する計画である。所要資金は、直接投資額だけで30億円となる見通し。次いで、同様の手法と手順によって同45万3,000t能力(同49万1,000t)の第2エチレンプラントの改造にも乗り出す。完工は05年春を予定している。

 いずれの場合も、実現に当たっては、水島事業所のコスト競争力強化の際に開発して実用化し、その波及効果の高さを実証できた多彩なノウハウをフルに生かしていきたいとしている。
 また、未利用留分の有効利用については、鹿島石油と共同して必要なシステムを確立した上で実現を目指していくことにしている。現在お互いが燃料として自家消費するにとどまっている未利用留分の中には、三菱化学が原料として活用していけるものや鹿島石油が有価燃料として外販していけるものなども一部残存しているので、新たに確立したシステムでそれらを取り出して相互に利用し合っていくという考えである。
 現在取り組んでいる「石油コンビナートルネッサンスプロジェクト」の成果をこれにどのように組み込んでいくかも注目される。