2003年04月25日
三菱化学もPTAの大幅減産に乗り出す
向こう1ヵ月にアジア全体で4割カット
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学、三菱化学

 三菱化学は25日、4月下旬からおよそ1ヶ月にわたってPTA(高純度テレフタル酸)の減産を実施すると発表した。
 減産の規模は4万t。同社の現有設備能力は、松山工場の年産24万t、三菱化学インドネシアの同64万t、MCCPTAインディアの同42万tの合計同130万tとなっている。したがって今回の減産率(製造設備能力に対する減産率)は約40%ということになる。きわめて高い減産率といえる。
 減産に踏み切ることにした理由については、大口輸出先である中国をはじめとしたアジア各地の需要の低迷と価格の下落による採算の悪化を挙げている。需要の減少の要因としては、原料PX(パラキシレン)の急騰とその後の高止まり、イラク戦争やSARS問題の広がりによるポリエステル川下製品の需要の減退などが挙げられると説明している。
 
 減産に当っては、松山工場を1ヶ月間運休するのに加えて、インドネシアとインドの2ヵ所の合弁会社の設備の稼動調整も実施していく。松山工場の設備の場合は、当初は、5月に2週間のスケジュールで定修を実施する予定であったが、需給バランスの早期回復を狙って前倒しするとともに運休期間を延長することにした。
 
 最近のPTAの需要の減少と市況の下落に対しては、アジア地域のPTAメーカー全体の間に強い危機感が急速に広まってきており、三井化学、韓国・三南石油化学、台湾・CAPCO、マレーシアBPなどが相次いで減産に踏み切っている。このうちの三井化学は、3月下旬から岩国大竹工場内の同35万t能力の第3号機を3週間の予定でクリーニング・シャットダウンしている。秋に予定していた定修を大幅に前倒ししたもの。他の系列についても稼動を調整中で、5月中旬までの同社の稼動率はほぼ50%にとどまる見通しにある。
 
 こうした中だけに、三菱化学の大幅減産のスタートはアジア地域全体の需給バランスの回復・維持にも十分寄与していくと見られる。同社では、中国の需要の回復が遅れた場合は減産を継続するとしている。ただし、最近の中国国内ではPTAもポリエステル製品も在庫がかなり縮小してきているので、5月中旬には需要が回復すると予想している。