2003年05月19日
三井化学、ダイレクト印刷版の現像レス品種の開発に成功
世界初のタイプ、今年10月に上市を予定
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほどアルカリ現像処理が不要(現像レス)のダイレクト印刷版の開発に成功し、サンプル配布による市場開拓に乗り出した。今年10月には量産化を開始したい考え。世界でも初めてのタイプのダイレクト描画印刷(CTP=Computer To Plate)版で、現在同社では主要各国に特許を申請中。

 今回三井化学が開発したのは、アルミプレートの支持体の表面に同社独自の親水性感光樹脂を塗布してCTP版に仕上げたもの。従来のダイレクト描画印刷版は、露光のあとでアルカリ現像処理が必要不可欠であったが、同社が開発したダイレクト印刷版は、レーザー光によって親油性に変化する独特の親水性感光樹脂層の働きで、アルカリ現像処理が完全に不要となる点が大きな強み。

 このためユーザーは、(1)現像工程におけるアルカリ廃液の排出がなくなり環境負荷を低減できる(2)製版プロセスの簡略化と時間の短縮によって印刷コストを削減できる(3)現像による品質のバラツキをなくして“品質不良ゼロ”を実現できる—の3つの大きなメリットを享受していけることになる。

 当面三井化学では、A4版4ページ取りのサイズ(650ミリ×700ミリ)を量産していく。初年度の売上げ目標は1億5,000万円。07年には年商15億円を目指す。将来の目標は50億円。関係者の中には、印刷分野の歴史に新しい1ページを記すことになると見る向きが少なくない。