2003年05月20日
中西・三井化学社長が会見、「強い三井化学」実現に意欲示す
「さらなる選択と集中」等で所期の目的達成目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学、三井化学

 三井化学の中西宏幸社長は20日記者会見し、同社グループの現在の経営状況と当面の重要施策の概要を明らかにした。

 この中で同社長は、当面の経営課題について「住友化学との統合は見送ったが、
“世界で存在感を認められる強い三井化学グループ”の実現に引き続きグループ全体で挑戦していくことが基本」と述べ、そしてその実現のために「さらなる“選択と集中”でコア事業を一層絞り込み、合わせて新製品開発を加速していきたい」と、“質の向上”で所期の目的を達成していく考えを強調した。

 同社長の発言要旨は以下の通り。
▽住友化学との統合は見送りとなったが、当社グループとしての基本課題は、引き続き“世界で存在感を認められる強い三井化学グループ”の実現を目指すことにある。したがって、企業理念に変更はない。

▽現在は01年を初年度とする第2期中期経営計画「01中計画」の最終年度を迎えているが、着実に狙いをクリアできる見通しにある。来年からは「04中計」をスタートさせることにしており、このためいま具体策を煮詰める作業に入っているところだ。

▽「01中計」の基本戦略のうち最も重要といえるのはコア事業の一層の重点化を図って収益を拡大していくとともに新製品開発を加速させることにある。これを基本に国内石油化学の再構築や海外におけるコア事業の展開に取り組んでいるところで、石化の再構築については、脱汎用化、脱エチレン系石化とプロピレン系ならびに芳香族系製品への重点移行、分解原料の脱ナフサ化と原料の重質化、川下との統合を実現しつつある。機能性ポリオレフィンの育成、大阪工場のプロピレンセンター化などが例として挙げられる。

▽これに続く「04中計」では、07年度の売上高1兆3,000億円、経常利益1,000億円を目標としていく。ただし、必ずしも規模の拡大が主眼ではない。中身の充実、つまり質の向上が目指すべき目標だ。その実現に当たっては(1)さらなる選択と集中(2)経営機構の改革(3)SAP R/3の全社展開(4)財務体質の強化(5)人員の適正化(6)新たな人事・賃金制度の構築の6項目をきちんとクリアしていきたい。

▽このうちの「さらなる選択と集中」では、石化の再構築、プロピレンセンター化の推進、アロマーチェーンのアジア展開、エラストマー事業やウレタン事業のアジア地域における拡大、電子情報材料事業の拡大、農業化学品事業の拡大等を重点課題に掲げていく。

▽石化の再構築に当たっては、付加価値製品で世界の競争を勝ち抜いていけるようにすることが大切と考える。また、ナフサに対する依存度を下げていくことも重要で、リファイナリーとのインテグレーションによる原料多様化など思い切った手を打っていきたい。