2003年05月26日
タカラバイオ、米社に遺伝子治療用「レトロネクチンR」ライセンス
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:タカラバイオ

 タカラバイオ(加藤郁之進社長)は26日、米国バークシス社(メリーランド州 )と、同社が開発したレトロネクチンRを、バークシス社がアメリカ及びヨーロッパ(ロシア連邦除く)でレンチウィルスベクターを用いたエイズ遺伝子治療の臨床開発に用いることを許諾するライセンス契約を締結したと発表した。

 レトロネクチンRを用いる遺伝子導入法は、同社と米国インディアナ大学医学部が共同で開発したもので、それまで難しいとされてきた造血幹細胞等の血液系細胞へのレトロウィルスベクターによる高効率遺伝子導入を可能にした。このレトロネクチンRを用いた遺伝子治療の臨床研究は既に全世界の32ヶ所の医療機関で進められており、レトロネクチンRはレトロウィルスベクターを用いた遺伝子治療のスタンダードとなりつつある。また、同社がレトロネクチンRの商業的利用を許諾した企業は、イタリア国モルメド社に続き2社目。

 現在エイズの治療は主に複数の抗ウィルス薬を同時に投与し、HIV(エイズウィルス)の増殖を減少させるものであるが、この治療法は副作用が多くの患者においてみられ、また、ウィルスが耐性を獲得する等の問題点を持っている。バークシス社が開発した遺伝子治療法は、エイズウイルス由来のレンチウィルスベクターを用いて、エイズウイルスのアンチセンス遺伝子を患者のT細胞に導入し、エイズウィルスの増殖を抑制するもので、従来法の問題点を著しく改善することが期待できる。このT細胞への遺伝子導入効率を高めるためにレトロネクチンRが使用される。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/030526takara.doc