2003年05月28日
東京都、「ディ−ゼル排気が花粉症に影響」と発表
ただし、ガス濃度と患者の増加度合いとの係わりは不明
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:環境省

 東京都は27日、「ディーゼル車排出ガスの花粉症に対する影響について」と題する疫学調査結果を発表した。
 これは、疫学や環境科学、さらには臨床医学などの専門家で構成される委員会がこれまで調査してきた結果を取りまとめたもの。
 調査結果のポイントは、「ディーゼル車排出微粒子が、ヒトのスギ花粉症症状の発現や悪化へ影響を及ぼすことが初めてわかったこと」と、「妊娠中にあびたディーゼル車排出ガスが、生まれた仔に影響することが初めてわかったこと」--の2点に集約されるとしている。
 前者については「これまで動物実験では確認されていたが、今回は、試験管内で花粉症患者の血液中にディーゼル車排出微粒子を添加したところ、ヒトのスギ花粉症症状を引き起こしたり悪化させたりする物質を増加させることがわかった」と説明している。また後者に関しては「ラットを用いた研究で、免疫機能が未発達の段階にある胎仔期、哺乳期にディーゼル車排出ガスあびると、仔ラットがスギ花粉症を起こしやすい体質になることがわかった」と指摘している。
 ただし、「今回の疫学調査では、ディーゼル車排出ガス濃度の差が花粉症患者の割合の増加に影響を及ぼすことを明らかにするには至らなかった」とも述べている。

 なお、大気汚染と花粉症の相互作用に関しては環境省もかねてから調査研究を続けており、さる26日に「スギ花粉症がスギ花粉飛散数の影響を受けることは明らかだが、現在の環境における大気汚染がスギ花粉症を増悪させるとの明確な結論は得られていない」との見解を公表している。そして「今後は、スギ花粉症モルモットやディーゼル排気微粒子暴露装置を用いて動物実験を行うとともに、より精密な疫学調査手法の検討を進めていく」ともしている。