2001年12月12日
東ソーのPEの差別化品種、順調な伸び
2~3年後に構成比40%を目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成、住友化学、東ソー

 東ソーが住友化学工業や旭化成同様に積極的に取り組んでいるポリエチレンの特化戦略が市場の評価を得て着実に実を結んできている。
 同社が「海外で量産されるポリエチレンや国内の他の樹脂に容易に置き換えられない品質と機能を持つもの」(高田正樹・同社理事、ポリマー事業部企画管理室長)と“規定”して開発・育成してきた同社特有の差別化品種がいずれも需要家の厳しいスクリーニングをクリアして順調な成長を遂げているもの。

 高圧法低密度ポリエチレン(HP-LDPE)「商品名ペトロセン」の多層押出しラミネート品種、同じHP-LDPE系の接着性ポリマー「メルセンM」、高密度ポリエチレン(HDPE)「ニポロンハード」の工業薬品ブロー容器用品種、同じHDPEのパイプ用グレード、エチレン酢ビコポリマー(EVA)「ウルトラセン」のケン化反応樹脂「メルセンH」、同じEVAの中でも酢ビのコンテントが高い高酢ビEVA「ウルトラセン700番シリーズ」、EVAの発泡品種--などが代表例に挙げられる。

 ペトロセンの多層押出しラミ品種の場合は同社の製品特有の低臭性が特に人気だ。また、ニポロンハードのブロー品種は純度が高く、耐薬品性に特に優れている点が最大のセールスポイント。現在同社では工業薬品向けではトップシェアを確保しているという。
 メルセンMは、イージーピール性や低温ヒートシール性が評価されて食品包装分野や一般工業分野で着実な伸びを遂げている。メルセンHは、金属接着性、低温接着性、耐薬品性、高流動性が大きな特徴で、ポリマーブレンド分野等に独自の基盤を構築している。
 
 これらの差別化品種は、いずれもベッセル法のもつ強みをフルに生かして製造されているもの。厳しい経済環境の中で、これまで以上に独自性に富んだ事業展開が不可欠と判断している多くの需要家の間で特に人気が高まっている。
 同社が現在製造・販売しているポリエチレン全体に占めるこれら差別化品種の構成比はおおむね25%とのこと。これを同社では2~3年後に40%に引き上げたいとしている。ついては、EVAの育成・強化に加えて、C6コモノマーによるL-LDPE「ニポロン-Z」の市場開拓の行方が特に注目される。