2003年06月03日
宇部興産、マリン系香料の画期的合成プロセス開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:宇部興産

 宇部興産は3日、マリン系の香りをもつ合成香料(正式名:α-メチル-1,3-ベンゼンジオキソール-5-プロパナール=MDP)の合成技術を開発したと発表した。天然木の成分を全く使用せず、既存化学物質から効率的に合成するプロセスで、「ヘリオフレッシュ」として商標出願した。2005年をめどに事業化をめざす。

 MDPはふつう、クスノキ科の植物の根を水蒸気蒸留し、取り出したサッサフラス油からベース香料のヘリオトロピンを合成し、MDPに誘導して生産する。このところマリン系の爽やかな香りが流行し、MDPの需要が伸びてきたため、同植物の乱伐による森林破壊が深刻化している。またMDPの安定供給面からも、植物由来ではない新たな合成法の確立が待たれていた。

 同社は、二価フェノール関連製品群をファインケミカル分野の基幹製品と位置付け、この誘導体事業を展開しているが、昨年、その誘導体であるメチレンジオキシベンゼンから、ヘリオトロピンの合成に世界で初めて成功した。これに続いて、このほどヘリオトロピンを経由せず、メチレンジオキシベンゼンから直接MDPを合成する技術を確立した。植物成分を必要とせず、すべて既存の化学物質から効率的に短い工程で合成できる画期的な技術で、地球環境保護や、コスト削減につながるとしている。

 2005年をめどに本格生産をめざすが、生産規模はメチレンジオキシベンゼン換算で1000トン/年、市場規模は約20億円程度と想定している。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/030603ube.doc