2003年06月04日
フィルム用品種の出荷、樹脂によって大きな違い
PEはマイナス成長に、PPは前年超えに転じる
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン3樹脂の主力品種であるフィルム用グレードの4月の出荷に、3月までにない変化が生じていることがこのほど明らかとなった。LDPEとHDPEの両樹脂は前年同月割れに転じ、PPの場合は逆に前年超えに変わっている。背景は必ずしも明確でないが、市場関係筋の間には、それぞれの樹脂の値上げ前のいわゆる前倒し需要の発生度合いの違いが大きな要因になっていると見る向きが多い。また、輸入品の増加圧力に大きな差異があることも少なからず影響しているとの見方もある。
 
 ポリオレフィン3樹脂の4月のフィルム用品種の出荷数量は、LDPEが前年同月比0.8%減の6万6,700t、HDPEが同11.7%減の2万6,200t、PPが同5.2%増の4万5,400tとなっている。うちLDPEは、昨年9月の同1%減いらい7ヶ月ぶりの前年同月割れとなった。一般用はわずか0.2%ながらも前年を上回ったが、農ポリ用が5.2%、重袋用が16.4%それぞれ縮小したのが響いた。HDPEは3ヶ月ぶりの前年同月割れとなった。輸入が引き続き活発な極薄・強化フィルム用が14.4%もの減少となったのがこたえている。PPの場合は、9ヶ月続いた前年同月超えが3月に途絶えて先行きが警戒されていたが、4月は再び増加に転じた。CPPが0.9%増にとどまり、IIPにいたっては15.6%ものマイナスとなったが、OPP用が7.8%増となったため全体ではかなりの高率伸張となった。
 市場関係者の間では、今後も汎用タイプの両PEのフィルム用品種は苦戦が続くとの見方が多い。