2003年06月11日
東洋インキ、カラー有機ELの積極製品化をデバイス業界に要請へ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三洋電機、東北パイオニア、凸版印刷、パイオニア、東洋インキ

 東洋インキ製造は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイの発光材料の開発を進めているが、ディスプレイ用のデバイス(部品)メーカーの製品化が遅れる傾向があるため、韓国、台湾での同デバイス開発が急速に進みつつある状況をデバイス各社に強調して製品化を急ぐよう求めたい意向である。
 
 同社としては液晶ディスプレイ(LCD)の開発で、当初、わが国が先行していたにもかかわらず、韓国、台湾勢が大型化と量産化を積極的に進め、現在ではわが国が遅れてしまっていることに注目して、有機ELではこれら両国に先行する取り組みが求められるとしている。
 
 わが国ではセイコー・エプソン、東北パイオニア、三洋電機などがエリアカラーのパッシブ型有機ELディスプレイを本年中に製品化する段階まできているものの、フルカラーのアクティブ型は2004〜2005年を目標にしている状況。その上、大型化の計画もはっきりしていない。
 
 これに対し韓国、台湾では液晶メーカーを中心に数社が有機ELディスプレイの製品化を手がけており、しかも大型化をめざしているという。
 
 東洋インキ製造は早期に有機EL材料を開発し、すでに赤緑青(RGB)の三原色の発光層や電子輸送層、電子注入層の技術を業界に先がけて確立している。とくに赤色発光ですぐれている。また、発光層に使う顔料(フタロシアニンブルー)の技術に強い。
 
 同社は凸版印刷と資本関係にあるが、凸版も有機EL技術の開発に力を入れており、両社協調しての有機EL製品化作戦が展開されるものとみられる。