2003年06月20日
亜鉛に10〜30μg/Lの環境基準の設定を
中環審の専門委が厳しい答申案まとむ
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:環境省

 中央環境審議会水環境部会の水生生物保護環境基準専門委員会は、19日に開いた第6回会合で、亜鉛を最初の対象とする水質環境基準の設定に関する同委員会案をまとめた。

 内容は、水生生物の保全のために亜鉛に対して1リットル当たり10〜30μgの環境基準を設定するというもの。具体的な設定基準は、淡水域が30μg/L、一般海域が20μg/L、特別海域が10μg/L--となっている。
 これに対して、識者の中には、水道水質基準値が1ppmである点を考慮しても信じられないほど厳しい値だと指摘する向きが少なくない。また、日本経済団体連合会では、(1)淡水域についてヒラタカゲロウの成長低下を唯一の根拠として全国一律の基準値を設定しようとしているが、環境基準の導入によって保全すべき環境がどのようなものであるべきかが明確になっていないのはおかしい(2)慢性毒性試験を実施せず、急性毒性値に仮定の係数を掛けて基準値を求めているものがあるなど基準値の導出過程の信頼性に疑問がある(3)現実に環境影響が生じているか否かを検証していない--などの理由から拙速な設定だとして反対を唱えている。
 
 同委員会では、この案をパブリックコメントの内容と合わせて25日に中環審の水環境部会に報告する。中環審では環境相に同案に基づく亜鉛の環境基準の設定を答申、そしてそれを受けて環境省が基準を作ることになりそう。