2003年06月20日
JSR、情報電子材料事業が好調、中期計画を上方修正
次はメディカル、環境・エネ、ナノテクへ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:JSR

 JSR(吉田淑則社長)は、昨年からスタートした3ヵ年の中期経営計画「JSRevolution」で掲げた、04年度売り上げ2,500億円の達成目標を02年度でほぼ達成したため、同目標を2,710億円に引き上げたと吉田社長が20日、発表した。
 
 この2年繰り上げ目標達成の要因は、半導体と自動車・タイヤが予想外に好調だったことによるが、とくに多角化事業として展開している情報電子材料事業の領域拡大と、既存石油化学事業の合理化が順調に進んだとしている。また今後は情報電子材料事業の一層の拡大と、メディカル、環境・エネルギーおよび精密加工技術(ナノテク)を含むフロンティアマテリアルを手がける方針。
 
 同社の04年度の当初の目標は、年間売り上げ2,500億円以上(うち多角化部門構成比40%)、営業利益200億円以上、ROE8%以上だったが、02年度実績で同2,471億円(同36.2%)、同208億円、同8.1%を達成した。このため、04年度の修正では同2,710億円(同40%)、同290億円以上、同11%以上を目標に掲げた。
 
 同社は04年度を目標にCRーG(コストリボリューション・フォア・グロース)プロジェクトを掲げ、04年度で120億円のコストダウンを目ざしていたが、初年度の02年度に64億円を削減したため、今回これを155億円(石化事業106億円、多角化事業49億円)に上方修正した。石化事業は独自性、優位性のある製品の拡大や収益の安定性を図る方針。製品によっては他社とのアライアンスも検討する。
 
 情報電子材料は半導体製造用材料(リソグラフィー材料、CMP材料、LCD、実装材料)、フラットパネルディスプレイ材料(PDP、LCD、有機EL用など、LCD材料を04年夏から韓国で生産)、光学材料(マートンフィルムを本年9月までに3倍の3,000トンに増強)をグローバルプレーヤーになる基本戦略で展開する。多角化事業は04年度に売り上げ1,100億円以上、営業利益230億円以上を目ざす。
 
 情報電子材料ではグローバルトップ化のほか、デファクト化(事実上の標準)、クラスター化(ブドウの房、事業の集積)をビジネスモデルとする。その上でマネジメント・コミットメント(経営資源の集中)、グローバル・インフラ(日・米・欧3拠点でのサプライヤー)、コア技術と研究開発マネジメント、最先端ユーザーとの親密な関係、広範囲な製品のラインアップの5つをコアコンピタンスにビジネスモデルを実現する方針。