2003年06月24日 |
住友化学、高分子LED用「新規青色発光材料」を開発 |
NEDOの助成交付により実用化を加速 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:住友化学、トッキ、NEDO |
住友化学は24日、新しい構造をもつ高分子LED(発光ダイオード)用青色発光材料の開発に成功し、実用化を満足するレベルである色度(CIE1931で規定されるy値が0.2未満)、約1万時間の寿命を達成するめどを得たと発表した。さらに、この材料の改良を急ぎ、高分子LEDの実用化を促進するため、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の、フォーカス21プロジェクトの一つ「高分子有機EL発光材料プロジェクト」にディスプレイの製造装置のトップメーカー、トッキと共同で応募し、このほど助成交付が決った。 有機LED(有機ELともいう)でも、低分子系材料によるフルカラーディスプレイはすでに実用化段階に入っているが、高分子LEDは、印刷によりディスプレイの主要部分が製造可能となるなど、製造プロセスが簡単なため、低分子に比べてディスプレイの生産コストが低減できる。また自発光型、省エネが図れるなどの特長があり、低分子系LEDのさらに先を行く発光材料といわれている。ただ現状は、主要メーカーの青色発光材料の寿命が数千時間に止まっているなど、実用化に十分な性能が得られてない。 今回同社が開発した高分子青色発光材料は、主要メーカーが開発を行っているフェニレンビニレン骨格、フルオレン骨格と異なり、独自の新規な骨格構造をもち、より純粋な青色を発光する特徴がある。輝度の半減寿命について、一部グレードでは実用に耐える約1万時間を達成しており、さらに高輝度・長寿命化に向けた研究を行っているところだ。 同時に、これに最適のディスプレイの製造プロセスを開発し、ディスプレイメーカーの実用化開発を加速させるため、NEDOの高分子有機EL発光材料開発プロジェクトにトッキと共同で応募していた。今回、助成が決ったことにより、高分子LEDの普及へ向けた取り組みをさらに加速したいとしている。 同社は今後、青色発光材料の量産化検討を進め、2005年度までに青色材料の技術を赤色、緑色発光材料に応用し、フルカラーディスプレイ用材料を開発する。2004年度中には青色材料から順次、事業化を開始していく計画である。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/030624sumitomo.pdf |