2001年12月10日 |
旭化成のPEの高付加価値戦略が軌道に |
メタロセンPEもスムースな立ち上がり |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:旭化成 |
旭化成のポリエチレン事業部門がかねてから精力的に取り組んできた高付加価値品種の育成・強化活動が軌道に乗ってきた。 現在同社が特に多くのエネルギーを集中して育成・強化に取り組んでいるのは、超高分子量ポリエチレン「サンファインUH」、ポリオレフィン系親水性多孔質プラスチック「サンファインAQ」、粉末ポリエチレン「サンテック-PAK」、焼結成形用パウダー「サンファインSH」、メタロセンポリエチレン「クレオレックス」--など同社特有の高付加価値製品。いずれも、激しい国際生存競争のなかでポリエチレン事業の存続を図っていくには市場ニーズの高度化と多様化にきめ細かく対応していける独自の高付加価値品種の開発・育成が不可欠との考えに沿って開発・育成中のもの。 「サンファインUH」は、耐磨耗性、自己潤滑性、耐衝撃性、耐薬品性などが大きな特徴。工業部品や産業資材が主な用途。「サンファインAQ」は、吸水力に優れていながら吸水による形状変化や強度の低下がない点が強み。打ち抜きや切断などの加工性も高いという。このため家電や事務機の分野に新しい領域が切り開けつつある。「サンファインSH」は、軽量ながら剛性に富み、優れた焼結強度を発揮する点が最大のセールスポイント。濾過材、医療機器、消音材などに人気が出てきている。「サンテック-PAK」は、柔軟性、耐薬品性、低温でに耐脆弱性、加工性などの特徴を持ち、冷蔵庫の網棚や自転車かご、フェンスなどの分野に独自の市場基盤を構築しつつある。 「クレオレックス」は、世界でもめずらしいメタロセン触媒による高密度ポリエチレン。従来のメタロセンPEの短所であった加工性を改良、合わせて耐衝撃性、耐環境応力性、クリープ特性、熱安定性などの強みも発揮できるようにしたもの。10月に商業化に踏み切ったばかりだが、早速、パイプやブロー分野で注目され引き合いと注文が活発という。 現在、同社が手がけているポリエチレン全体の生産・販売数量に占めるこれら高付加価値品種の比率は32%とのこと。ポリエチレン業界の中ではかなり高い“特化”比率だ。しかし同社ではこれからが本番だとしている。5年後には構成比を45%に持っていくとしており、それが実現すると、需要家だけでなくポリエチレン業界全体にも大きな刺激を与えることになろう。 |