2003年06月27日
戸建住宅に占めるプラスチック、塩ビ製品が圧倒
プラ協の建築解体廃棄物の調査で浮き彫りに
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:プラスチック処理促進協会

 「戸建住宅に使用されているプラスチックのうち圧倒的多数は塩ビ製品で占められている」。「また、それら塩ビ製品の中には、住宅の解体に合わせてマテリアルリサイクルによって有効利用できるものが多い」。世界でも初めてといえるこうしためずらしい内容の調査結果がこのほど明らかになり、関係各方面の注目を集めている。

 これは、プラスチック処理促進協会が、クワバラ・パンプキン、大空リサイクルセンター、大空土木の3社の協力を得て東京都近郊の木造軸組住宅6棟と軽量鉄骨住宅2棟の合計8棟を分別解体した結果判明した。木造住宅のうちの1棟については、独立行政法人建築研究所の活動に同協会が参加するかたちで調査が実施された。

 今回の調査の目的は、(1)建築物の解体から排出される廃プラスチックの樹脂の種類、排出量、排出状況を把握して、解体系廃プラの処理と資源化の取り組みに役立てること
(2)建築系廃棄物中の廃プラスチックの将来予測のための基礎資料とすることの2点であった。

 こうした狙いに沿って実施した調査の結果、1972年から1997年までの間に建設された住宅の中から排出された樹脂は17種類を数え、そのうち最も多かったのは塩ビ樹脂製品であることが明らかとなった。同協会によると、樹脂全体の76%が硬質と軟質を合わせたPVC製品で、PSの9%、ポリウレタンの5%など他の樹脂の構成比を大きく圧倒していることが判明したという。

 この要因について同協会では、難燃性、強度、耐久性に加え、様々な形状に容易に成形できる加工性の良さ等も広く建築関係者に評価されていることが大きいと分析している。

 解体8棟から排出された廃プラスチックの発生原単位(単位延べ床面積当たりの排出量;kg/平方メートル)は、1.59〜3.73kgで、8棟の単純平均は2.62kgであった。また、廃棄物全体に占める割合は、0.31〜0.77%で、平均は0.50%であった。

 用途区分別の廃プラスチックの割合は、屋根・外壁材が23%、配管材が22%、内壁・天井材が15%、保温・断熱材が11%、電気配線が10%となっている。廃プラスチック原単位とその割合は、下水管(硬質塩ビ)が18%、壁紙(軟質塩ビ)が13%、雨どい(硬質塩ビ)が10%となっており、上位3位までが塩ビ製品で占められるていることが明らかになった。発泡成形体(PS、PUR、PE)は9%、電線(軟質塩ビおよびPE)は8%である。

 一方、リサイクルについては、雨どい、電線、ルーフィング、ガスケット・ウェザーストリップ、下水管、上水管、発泡断熱材などが比較的汚れが少ないのでマテリアルリサイクルが可能と同協会では評価している。ただし、壁紙や床シートなどについては、分離を加味した設計・工夫が期待されると論評している。

 また、調査結果全体をにらんでのまとめとしては「解体現場や中間処理での分別の向上と、それに基づく適正な処理、最終処分量の減少に取り組むことが肝要」と指摘、そして「材料リサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルなど各種のリサイクル手法が開発されているので、それらを有効に生かしていくことが期待される」と結んでいる。