2003年07月01日
経産省、内分泌かく乱作用のスクリーニング試験に着手
年100t以上の生産・輸入物質のER結合予測等を計画
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省

 経済産業省は1日、「化学物質審議会管理部会・審査部会」の下部機構である「内分泌かく乱作用検討小委員会」の平成15年度第1回会合を開き、内分泌かく乱物質問題に関する今後の同省の取り組みについて計画概要を説明し、了承を得た。

 同省が今年度に実施しようと計画している行政課題は、(1)内分泌かく乱作用暫定評価スキームによるスクリーニング(2)QSAR(三次元構造活性相関)の活用=ドッキングシミュレーションの前処理ソフトの開発、AR(アンドロゲン)結合性予測システム開発のための検討など(3)in vitro試験=OECDにおける試験法のバリデーション作業への参画、各種試験法の開発の継続(4)in vivo試験=スクリーニング試験法のOECDテストガイドライン化の推進、確認試験法の検討など(5)有害性評価書の検討=2世代繁殖毒性試験結果等新たな知見を踏まえた有害性評価の見直し、環境生物への影響に関する文献の調査など--の5項目。

 このうち特に注目されるのは、(1)の「暫定評価スキームによるスクリーニング」である。これは、わが国で年間100t以上の生産・輸入量がある化学物質やモニタリング等によって環境中で検出された化学物質を中心に試験に着手し、そしてその結果をもとに暫定評価スキームの改良についても検討していくというもの。

具体的には、(1)同100t以上の生産・輸入量がある約2,500の化学物質のER(エストロゲン)結合予測性の計算(2)in vitro試験によるスクリーニング(ER/ARレポーター遺伝子アッセイ、ER/AR受容体結合試験)の実施(対象は250物質ていど)(3)in vivo試験によるスクリーニング(子宮増殖アッセイ、ハーシュバーガーアッセイ、改訂TG407)の実施(16年度に予定)--の3点を計画している。

 内分泌かく乱物質問題に対するわが国行政当局の取り組みは、多くの専門家との連携が効率よく実現できていることもあって国際的に高く評価されており、なかでも試験法の開発ではリーダ的存在となっている。経済産業省の15年度の計画が円滑に推進されていくと、さらに一歩進んで実際のスクリーニング試験の面でも先導的役割を果たしていけることになる。