2003年07月08日
積水化成品、有機微粒子ポリマーの新品種を企業化へ
光学部材や化粧品用添加剤等の分野の新領域開拓
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:積水化成品工業

 積水化成品工業はこのほど、同社独自の技術による樹脂微粒子「テクポリマー」の新品種の開発に成功し、市場開拓に乗り出した。今年度上期末までサンプル配布活動を続け、下期から本格企業化したい考え。
 
 今回同社が開発したのは、スチレンやメタクリル酸メチルなど各種疎水性ビニルモノマーを重合して作られる有機微粒子ポリマーの一種。同社では17年前に真球状の同ポリマーを開発、「テクポリマー」の商品名で順調に独自の市場を開拓してきているが、それに加えて新たにアクリル系の非真球状微粒子の開発にも成功したためこれも戦略製品の一つとして育成していくことにしたもの。
 既存の「テクポリマー」は、光拡散性、ブロッキング防止性、化粧品の滑り性や分散性など同製品独自の様々な機能と特徴を発揮する点が人気を呼び、塗料、光拡散剤、化粧品などの分野に着実な広がりを見せている。今回の非真球状品種は、そうした特徴に加えて平滑性や付着性などの機能も付与されており、このため多くの関係者が、光学部材や化粧品用添加剤など様々な分野で新しい領域を切り開いていく可能性が高いと見ている。
  
 具体的な特徴としては(1)光学フィルムの光線透過率が高いこと(真球状に比べ、同ヘイズで全光線透過率が7%向上して86%となるので画面が一層鮮明になる)(2)粒子の光散乱性が60%と高いこと(ソフトフォーカスの向上で肌がきれいに見える)(3)付着性が高いこと(5段階の官能評価のうちの「4」のレベルなので対象物への塗工性が良好)(4)塗膜の平滑性が優れていること--などが挙げられる。耐熱性や耐溶剤性、耐候性などは従来の「テクポリマー」同様の高水準という。
 用途は、液晶ディスプレーやプロジェクションテレビ等向けの「光拡散分野」、TVやオーディオ等家電キャビネットのつや消し塗料や建材塗料向けなどの「塗料分野」、ファンデーション向けなどの「化粧品分野」--の3分野が中心となりそう。
 同社では、高架橋タイプの「テクポリマーLMX-Aシリーズ」と、低架橋タイプの「テクポリマーLMX-Cシリーズ」の二つのタイプを上市していく。製品寸法は最大径が約4〜15μm、厚みが2〜12μmでいずれも調整可能という。
 
 当面は、同社滋賀工場内のパイロットプラントでユーザーの要求に応じて生産していくが、04年中には量産設備を設置したい考え。年間売上げ目標は3年後5億円。