2003年07月08日
東レ、炭素繊維強化プラスチックの自動車用途向け開拓本格化
日産、三菱自など相次ぎ新車に採用
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:東レ

 東レは、炭素繊維の用途拡大を図るため、特に将来期待されている自動車用途向けに、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)部材の本格展開を行っていく方針を決めた。

 すでに、エンジンから動力を駆動輪に伝える「プロペラシャフト」と、ボンネットやトランクフードといった「外板部材」、自動車の空力特性を向上するスポイラーなどの「2次構造部材」は自動車メーカーの量産車種に採用されている。

 プロペラシャフトは、平成11年に三菱パジェロに世界で初めて採用された後、国産自動車メーカー2社の新型主力車種(日産フェアレディZ、マツダRX-8)にも採用。さらに、欧州の自動車メーカーでも、来年発売予定の新型車に採用される見込みとなっている。

 炭素繊維強化プラスチック(CFRP=Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、炭素繊維にエポキシ樹脂などの高分子材料を含浸した後、硬化させて成形した複合材料で、強度に優れ、鉄やアルミなどの金属と同じ強度・剛性でも、より軽量化できるという特長をもっている。CFRP製プロペラシャフトは、従来のスチール製に比べて約50%の軽量化を図ることにより、自動車の燃費改善や運動性能の向上に効果がある。

 こうしたCFRP製プロペラシャフトの特長が自動車メーカーから評価されているため、同社では今年度、CFRP製プロペラシャフトで20万本近い生産を見込んでいる。

 一方、外板部材や2次構造部材では、平成12年に日産スカイラインGT-Rの最高級グレード(V・specII)のボンネットにCFRPが初めて採用されたのに続き、今年1月には三菱ランー・エボリューションVIIIのリアスポイラーにも採用された。CFRP製スポイラーは、従来の樹脂製に比べて40%以上の軽量化を実現した。

 現在、プロペラシャフトと外板、および2次構造部材については、国内外の自動車メーカーあわせて10社程度で量産車種への採用に向けて技術評価中であり、近い将来、CFRPが自動車の"標準"材料として一気に普及する可能性が期待される。

 今後は、1次構造部材や衝撃吸収部材など新規部位における早期の実用化により、自動車材料用CFRP事業において、5年後200億円、10年後1,000億円の売上を目指す。