2003年07月08日
有機EL、アモルファスシリコン基板で2つの流れ
東芝松下ディスプレイテクノロジーと台湾2社
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東芝

 液晶ディスプレイ(LCD)で広く使われてきた、アモルファスシリコンTFT(薄膜トランジスタ)を有機ELディスプレイに採用して、簡単かつ低コストのディスプレイ大画面化を実現したと、台湾のIDTech(台湾のCMOと日本IBMの合弁)やAU(台湾のエーサーとユニパックの合弁)が明らかにしてから数ヵ月もたたないうちに、東芝松下ディスプレイテクノロジーが低温ポリシリコンTFTを液晶ディスプレイに採用、アモルファスシリコンTFTの将来に技術的疑問を投げかけたため、関係者から注目されている。
 
 アクティブ駆動回路基板に規則的な配列を持たない結晶構造のアモルファスシリコンが使われるのはポリシリコンTFTに比べ、アモルファスシリコンがほぼ5割安の低価であるため。ポリシリコンTFTはディスプレイコストの半値近くになるので同コストに大きく影響する。
 
 IDTechは通常のLCDに比べ、アモルファスシリコンTFTを使ったディスプレイは優れた色再現性、視野角を実現しながら、動画特性もよく、20型の大型画面で、消費電力も半分にしたとしている。
 
 これに対し東芝松下ディスプレイテクノロジーは、画面制御用ICなどの電子回路をガラス基板表面のポリシリコン層に内臓するシステム・オン・グラス(SOG)技術に対応したポリシリコンTFTを開発、採用したことで、接続ピン数や実装部品などの画面まわりの付属部品を削減、また液晶表示画面の面積効を向上させたと経済性を強調している。ただし、画面は2.2型。
 
 東芝はもともと低温ポリシリコンTFTを重点的に開発、実用化したいきさつがあり、有機ELディスプレイ分野でのアモルファスシリコンTFT採用見送りは予想されたことだが、大、小画面の差があるにせよ今後、以上の相反する2つの流れが注目される。