2003年07月11日 |
日化協、EUに化学品規制に関する意見書を提出 |
「再度コメントの機会を設けるべき」と強く要望 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:日本化学工業協会 |
日本化学工業協会は10日、欧州委員会の「新たな化学品規制(REACH)案」に対するコメントを9日付けで同委員会あてに送付したと発表した。 コメントの内容は、「現在の草案がそのまま法制化されるべきではなく、委員会が正式に提案を出す前に再度関係各国にコメントする機会を設けることを強く要望する」というもの。草案がそのまま法制化されることに反対する理由としては三つの点を示している。すなわち (1)EU域外で生産された化学品および化学品を使って作られた各種製品のEU輸入に関して、実質的に差別的な要素を含む内容のものとなっている。 (2)規定に曖昧な部分が多く、また実際の生産活動や商取引さらには安全性の試験の実施などの実務面から見ても制度が適正に働くといえない。 (3)従来のサプライ・チェーンのあり方に大きな混乱をもたらし、化学産業の健全な発展を国際的なレベルで阻害する可能性がある。 --の3点を挙げている。 EUのREACH案に対しては、多くの国の化学業界にとどまらず電機メーカーや流通企業などの関連業界も強い疑問を投げかけ再考を求めている。また、日本や米国など域外の国だけでなく域内の国の政府の間からも修正を要求するコメントが相次いで打ち出されている。わが国の電機メーカーなど化学製品の需要家の間にも内容を疑問視する向きが多い。 日化協が挙げているEU案の主な問題点は次の4点。 (1)化学物質安全性評価報告書の作成、提供、保管、更新は、特に域外企業と情報交換が必要な輸入者にとって大きな負担増となる。すでに、MSDSシステムによって十分な情報交換が行われており、その活用で十分。 (2)登録の進め方の詳細が不明であり、特にICCA/HPVイニシアチブの経験に基づいて考えた場合、データシェア・コストシェアなどの作業性に問題があると思われる。 (3)免除規定(中間体、ポリマー)の取り扱いについて不明確であり、域内外の格差を生じる可能性がある。 (4)成形品の取り扱いは定義が極めて曖昧であり、実際にどのように作動するかは不明だが、成形品の取り扱い企業に対して過重な負担となる可能性が高い。また、域外と域内の企業に格差が生じる可能性もある。 |