2003年07月14日
東セロ、高バリア性フィルムの新品種を開発
既存設備の改造で来春から本格企業化
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東セロ

 機能性フィルムの大手メーカーの東セロは、従来以上にバリア性能に優れたポリオレフィン系フィルムの開発に成功し、企業化準備に着手した。

 今回同社が開発したフィルムは、OP基材にビニルアルコール(VA)系ポリマーをコートしたもので、高湿度下でも優れたバリアー性を発揮する点が大きな特徴。また、(1)防湿性に優れていること(2)水性インキ印刷適性が良好なこと(3)耐ピンホール性が高いこと(4)食品安全衛生性に優れていること--などの強みも併せ持つとされる。
 同社によると、OP(ポリプロピレン延伸)フィルムベースの高バリア包装材の中で高水分域までカバーできる製品はこれが世界でも初めてという。同社ではこれを「AOP-EX」の商品名で企業化していく。
 
 「AOP-EX」の生産に当たっては、茨城工場内で稼動中の合計5系列のOPフィルム装置のうちの一系列を改造して活用していく。生産能力は最大年間3,000t。来年1月に工事を完了、試運転を経て4月から本格操業に入る計画。設備の改造費は約4億円の見込み。
 
 食品業界や流通業界の間ではバリア性フィルムのニーズが年々急ピッチで拡大しており、このため東セロでは最初に塩化ビニリデンコートフィルムを企業化、次いでポリビニルアルコールコーティングのOPフィルム「AOP-BHとAOP-SB」やEVOH多層シーラント「FBS」、さらには透明蒸着フィルム(PET原反に酸化アルミを蒸着したフィルム)−−などを相次いで開発・上市して多彩なニーズに対応してきた。
 
 ただし、このうちのOPフィルムベースのAOPシリーズは、低水分あるいは中水分の活性領域の対応品種であるため高水分域の需要はカバーし切れないできた。それが今回の「AOP-EX」の開発によって低水分活性領域から中・高水分活性領域までのすべてのニーズに対応していける体制が整えられることになるわけで、同社のバリアフィルムのラインアップは一層充実したものになるといえそう。同社では、和洋菓子、珍味、甘納豆などの中水分域の需要には「AOP-EX」で、またハム・ソーセージやチーズ、惣菜などの高水分域のニーズには「AOP-EXS」でそれぞれ対応していく。「AOP-EX」の売上目標は、初年度が4億円、4年後が10億円。