2003年07月17日
TEC「天然ガスからメタノール」内熱式新製法を共同開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東洋エンジニアリング

 財団法人エネルギー総合工学研究所(IAE)と東洋エンジニアリング(TEC)は17日、財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)と共同で、二酸化炭素を排出せず、低コストで天然ガスからメタノールやDMEなどのクリーン・エネルギーを製造するための合成ガスを作る「天然ガス内熱式水蒸気改質法」を経産省の補助金を得て開発したと発表した。

 天然ガスを水蒸気改質してメタノールなどの原料となる合成ガスを製造する場合、通常は触媒を充填した管型反応器を加熱炉に入れて外側から加熱する「外熱式」が用いられる。しかし加熱・燃焼により発生する二酸化炭素の排出は避けられない。
 
 今回開発したのは、酸化触媒と改質触媒が交互に充填されている密閉された反応器の中で、外から加熱するのではなく、内部の酸化触媒の発熱反応と、その熱を利用した吸熱反応の水蒸気改質によって合成ガスを製造する新方式の「内熱式」技術に特徴がある。

 「内熱式」は、主に水蒸気・天然ガス・酸素からなる原料ガスが反応器内の酸化触媒層で発熱反応である部分酸化反応により昇温され、次に改質触媒層で吸熱反応である水蒸気改質反応により次第に温度が下がる。さらに酸素を追加し同様に酸化触媒層と改質触媒層を通す操作を数段繰り返すことで高い合成ガスの収率が得られる。
 
 また反応器外壁温度も300℃程度以下に下げられるため、余熱器の負荷を小さくして合成ガス製造が可能で、設備小型化や安価な装置材料の使用による設備コストの大幅な低下が期待できる。
 
 ここでポイントとなる酸化触媒にはRITEが開発したマンガン置換「ヘキサアルミネート型触媒」、また改質触媒にはTECの「ISOPR触媒」を使用。このほどTEC茂原研究室で、両触媒を組み合わせた小型実験装置で、この「天然ガス内熱式水蒸気改質法」の有効性を確認した。さらに、IAEは、独立行政法人産業総合研究所北海道センターで、透過型実験装置を用いて、両触媒を充填した石英製の反応器内で起こる反応の様子を目視し、酸化触媒層が十分低温で赤熱する様子をとらえているという。
 
ニュースリリース参照 
http://www.chem-t.com/fax/images/030717tec.doc