2001年12月06日
中国の樹脂輸入、10月はPP以外の伸びが鈍化
日本品は6樹脂のうち4樹脂が前年を下回る
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 中国の10月の輸入通関統計によると、汎用6樹脂のうちABS樹脂を除く5樹脂が引き続き前年同月の数量を上回った。ただし、5樹脂のうち高い伸びを持続したのはPPの46.1%増だけで、他はいずれも9月までの各月に比べて伸び率が大幅に鈍化している点が注目される。一方のABS樹脂は、5月いらい6ヵ月連続の前年同月割れとなった。

 PPの伸長率が高いのは、大幅な新増設を実施した直後のシンガポールと台湾の両国、それと一般景気の急速な縮小に悩む米国の計3ヵ国の製品が著しい伸びを遂げたことによる。シンガポール品は前年同月比277.0%、米国品は同199.3%、台湾品は同176.9%となっている。
 しかし、このPPも含めてどの樹脂も絶対量は減少傾向が鮮明になってきている。中国国内の在庫が潤沢になってきたことと、ユーザーの間に先安観が広がってきたことによるものと見られる。
 こうした中での日本品は、HDPEが32.5%、PPが5.3%それぞれ前年同月を上回ったものの、他の樹脂は4種類ともマイナス成長となった。LDPEは18.6%減、PSは26.2%減、PVCは0.2%減、ABSは15.6%減となっている。全体に、サウジアラビアやシンガポールや台湾といった新増設諸国の勢力拡張のあおりを受けてシェアの縮小が一段と進んできていると言える。
 現に、各樹脂別の日本品のランキングは、PVCこそ1位を維持できているものの、他の樹脂は軒並み下降線をたどっている。HDPEとABSは3位、PSは5位、PPは6位、LDPEにいたっては7位となっている。どの樹脂でも圧倒的な強みを誇ったかつての面影はない。
 
 中国による10月の各樹脂の輸入通関数量は次の通り。かっこ内は前年同月比。
 ▽LDPE=182,198トン(114.2%)。うち日本品12,396トン(81.4%)
 ▽HDPE=132,113トン(114.5%)。うち日本品12,816トン(132.5%)
 ▽PP  =171,369トン(146.1%)。うち日本品13,726トン(105.3%)
 ▽PS  =125,759トン(103.6%)。うち日本品10,904トン(73.8%)
 ▽PVC =159,267トン(103.7%)。うち日本品39,904トン(99.8%)
 ▽ABS =122,971トン( 90.8%)。うち日本品10,268トン(84.4%)